十一月三日(木)己丑(舊十月四日 晴

 

今日の讀書・・今日も、『日本紀略』 を讀み進みました。と言ひたいのですが、その途中で見たネットの「日本の古本屋」の古本まつりの案内に刺激されて、それでも晝食を食べるまではがまんして、出かけてしまひました。その案内は次のやうな内容でした。

 

十一月三日 「しのばずくんの本の縁日 2016」 開催! 

秋の一日、千駄木のお寺が新刊や古本、ミニコミで埋まります! 「一箱古本市」の不忍ブックストリートが、本好きも地域の方も楽しめる新しいブックイベントをはじめます! 会場は文京区千駄木五丁目の養源寺境内です。 

 

實は、先月廿九日から今日まで、京都の百万遍知恩寺で古本まつりが開かれてゐたんですが、それには行けず、心にかかつてゐたところに、お寺での古本まつりです。それで、千駄木驛から歩いて行つてきました。驛から路地を通つて團子坂に出、駒込學園の交差點を右折すると、その先に養源寺はありました。 

まあ、百万遍ほど大きくはありませんでしたが、けつこう風變はりな本が竝んでゐました。『小説集 幻妖』(現代思潮社)とか、G・K・チェスタトン著作集1『正統とは何か』(春秋社)。これは、以前讀んだことがあつたのですが、間違つて處分してしまつたらしいのですね。それで探してゐたので、とても嬉しかつたです。また、豆本とでも言ふのでせうか、文庫本の半分くらゐの大きさで、上月乙彦著『芭蕉と切支丹』(明石豆本らんぷの会)を手に入れました。

 

せつかくですから、それから歩いて舊中仙道に出、都營三田線の白山驛から乘つて神保町に行きました。まだ古本市はつづいてゐて、あれこれ見て歩きましたところ、ここでも探してゐた本を見つけました。 

それが、見つけたはいいのですが、他の人が手に取つてしまつたのです。ぼくは氣が氣ではありませんでした。が、どうにか棚にもどしましたので、その人の氣が變はらないうちに、さつと取つて購入してしまひました。『日本庶民生活史料集成 第三巻(探検・紀行・地誌)』(三一書房)です。それがたつた一千圓だつたのです。これは知る人ぞ知る本で、お買ひ得でした。

 

夕方、少し早めに切り上げて、再び三田線に乘つて水道橋驛で降り、例の「かつ吉」に入りました。休日だからなのか、なのになのか、それほど混んではゐずに、美味しいひれかつ定食をいただくことができました。弓友の齋藤さんと來て以來でした。 

歸りは、水道橋驛から總武線に乘り、新小岩驛經由、京成バスで歸路につきました。 

 

ところで、出かけるのならと、またまた黒川さんの、「疫病神シリーズ」の第四彈 『螻蛄』 を手にして讀みはじめました。これも面白さうです。 

 

今日の寫眞・・講談社發祥の地碑。養源寺手前の、最上徳内の墓があるといふお寺。古本市が今日だけ開かれるといふ養禪寺。卒塔婆の前も大賑はひ。歸りに寄つた、水道橋のかつ吉のひれかつ定食。 

さいごは、古本まつりで見つけた本。これは、今讀んでゐる 『日本紀略』 やその他の古記録などに現れる「穢」に對する王朝人の「觀念」のありどころの解明に役立ちさうです。