十一月廿日(日)丙午(舊十月廿一日 晴

 

今日の讀書・・今日は散歩として土浦の古本市に行つてきました。常磐線土浦驛から分のところにある 〈つちうら古書倶楽部〉 といふ古書店で、年に數回古本まつりが開かれるのであります。 

「(茨城)県内外の古書店が集結。東日本最大級の売り場面積と幅い品揃えが自慢です。」と言ふくらゐですから、たしかに見ごたへがあります。 

讀み始めた飯嶋和一さんの 『汝ふたたび故郷へ帰れず』 を持つて、行きりの電車の中で讀み進みました。

 

古本市のはうは、正直のところかはりばへしませんでしたが、驛前通の小松屋さんで美味しいうな重をたべることができて幸せでした。 

食べながら、服部さんが先日薦めてくださつた本を思ひだし、再び古本まつり會場にもどつて探しましたけれど、見つかりませんでした。 

それで、歸路、柏驛で降り、太平書林さんを訪ねましたがやはりなくて、そのかはり、角川文庫版の 『行信』 を見つけることができました。これは親鸞の主著でありまして、正式には 『顯淨土眞實敎行證文類』 と言ひ、一年前に訪ねた笠間の田草庵(西念寺)において一二二四年に草稿が出來上がり、親鸞の晩年まで「加筆・補訂」された書物なのでありますね。本文は漢文ですが、それは省略されてゐるのですが、その訓讀文をベースに、意譯と解説と脚注がほどこされてゐて、ぼくみたいな者には適切かも知れません。 

それが、神保町では何千もするのであきらめてゐたのですが、四册揃ひで五百圓でした。 

 

服部さんが薦めてくださつた本といふのは、小林勇著『蝸牛庵訪問記』(講談社文芸文庫)ですが、これは歸宅後アマゾンで探したら簡に見つかり、しかもとても安く注文できました。 

その他、今日求めた、平林盛得著『良源』(吉川弘文館) は、昨日記した「南北二京僧論議」、それは「應和の宗論」といふのださうですが、良源はその當事者であり、その内容が詳しく書かれてゐました。讀んでみましたが、ぼくの推論はそれほど間違つてはゐませんでした。 

 

また、ちよつと頭痛がするので早めに寝床に入つたのですが、飯嶋和一さんの 『汝ふたたび故郷へ帰れず』 がすごいといふか、興奮するといふか、ドキドキしながら、たうとう讀みきつてしまひました。現代ものでしたが、讀みながらまるで自分がボクシングしてゐるやうな臨場感にあふれた作品でした。 

また、ところどころ、ぼくは、『パパラギ』 を讀んでゐるやうな氣分になりました。トカラ列島の「宝島」にも行つてみたくなりました。 

 

今日の寫眞…〈つちうら古書倶楽部〉が入つてゐるビル。平林盛得著『良源』(吉川弘文館)と『行信』。「應和の宗論」の場面のコピー。それと小松屋さんのうな重。