十一月十二日(土)戊戌(舊十月十三日 晴

 

今日の讀書・・昨日一日で、黒川さんの、「疫病神シリーズ」の第五彈 『破門』 を讀了。まあ、よくもまあここまで書けるかと思へるヤクザの世界が面白い。 

つづけて、讀みかけだつた、田辺聖子著 『蜻蛉日記をご一緒に』(講談社文庫) を今日讀み上げてしまひました。原文と併行して讀んでゐたのですが、『蜻蛉日記 下』 に入りましたし、これで全容を把握したので安心してくづし字に取り組めさうです。 

ぼくは、お聖さんの本は、かもかのおつちやんものを讀んで以來隱れファンでありまして、なかでも大好きなのは、『篭にりんごテーブルにお茶・・・』(角川文庫) ですね。男女間の機微をよく描いてゐますし、感覺的に同感します。 

さて、『蜻蛉日記をご一緒に』 ですが、これは、「大阪豊中市千里よみうり文化センターで、八回にわたって講義したもの」だけあつて、面白いとともにとても勉強になりました。で、その内容を、お聖さん流にまとめると、次のやうになりますでせうか。 

 

「『蜻蛉日記』を読むと、人間の本当の希求というのは、女がたった一人の男に出会うこと、男がたった一人の女にめぐり会うこと、それが人類の愛の根本ではないかなと考えさせられるんですね。男と女という赤の他人同士が理解し合い、愛し合う存在になる、それはきわめて珍しい関係だけれども、人類の夢、という気がします。女は、男に、絶えず 〈私を理解して。私だけ愛して〉 と求めつづけますが、男は、女なんか理解するひまもなく、理解なんかしたくないのです (笑い)。これは永久に、男と女のすれ違いですね。男と女の違いが、象徴的にまでたかめられたのが、この 『蜻蛉日記』 だと思うのです。」 

 

さらに、山本幸司著 『穢と大祓』(平凡社選書) を讀みはじめました。難しいけれど、歴史を解讀するためには、理解しておかなければならない事柄だと思ひます。 

 

今日は晝ごろから晴れて暖かくなつたので、ふとんを干しました。 

 

今日の寫眞・・讀み終はつたお聖さんの本。新しい毛布にくるまれて、ごきげんのモモタとココ。