十二月廿二日(土)舊十一月十六日(戊子・冬至) 曇りのち小雨

 

いつものやうに、神保町と高圓寺の古書會館に行つてきました。今年最後の古本市だからでせうか、相變はらずの盛況で、掘出し物はありませんでしたが、お安い和本を何册か手に入れることができました。 

法然上人の遺文集である 『拾遺黒谷語燈録 七』(文化四年・一八〇七年刊) と、「吉原評判記」の一册である 『吉原天秤』(寛文頃刊、稀書複製会、昭和九年復刊) です。 

 

それと、東京古書會館を出た大通りをはさんだ向かひにカレーライスの店があるのです。いつもなら行列ができてゐるので避けてゐましたが、今日はだれも並んでゐなかつたので入つてみました。マジカレーといふ小さなお店です。まづ券賣機で一番量の少なさうな「特製ビーフカレー」(¥690)を買ひ、小さなテーブル二つとカウンターだけといふ店内に恐るおそる入つたら、明るく元氣な女性店員が席へ案内してくれました。そして出てきたカレーの美味しいこと、神田カレーグランプリで優勝したといふのもうなづけました。また、手作りの福神漬けも美味しい。行列ができるわけでした。 

 

次いで、古書店街の八木書店に行き、廉價本の中から、影印本の 『俊賴隨腦』(和泉書院) と、テツオ・ナジタといふアメリカ人が書いた 『懐德堂』(岩波書店) を見つけて求め、店員の青年にこの一年のお禮を述べたら、來年のカレンダーをくれました。昨年もいただきましたが、こんどのは「奈良繪本」の特集でした。

 

さて、高圓寺ですけれど、あまりにも廉價なのであれもこれもと手を出したくなりましたが、三册にとどめました。藤本勝義著 『源氏物語の「物の怪」─平安朝文学と記録の狭間─』 と、安部龍太郎著 『彷徨える帝』(新潮文庫) と、津本陽著 『火焔浄土 顕如上人伝』(角川文庫) です。後者は、「史上稀なる大虐殺! 信長と一向宗の戦い」といふ内容です。どれも一〇〇圓から二〇〇圓でした!

 

そして、近くのなじみの喫茶店で休憩し、歸り際に挨拶をしてから出てきました。さういへば、さきほど神保町の一誠堂書店の顔なじみの店員さんにも挨拶を交はしたのでしたし、夕食をいただいた靑砥驛構内のお壽司屋さんのおぢさんにも挨拶。先日は西秋書店さんにも挨拶をしたことだし、これで今年の古本行脚も終了としませうか?