七月廿三日(土)丙午(舊六月廿日 曇り日中晴

 

今日の讀書・・『多武峰少將物語』につづき、同じ和本の後半の 『鳴門中將物語』 を、これは一氣に讀んでしまひました。ただ、八丁ですから、普通の數へ方ではたつた十六頁にしかすぎません。それでも、『多武峰少將物語』 のはうは參考書があつたので(今日の寫眞參照)、理解の助けになりましたが、今日のは、翻刻された群書類從本があるだけですから、文字がわかつても、むづかしい語句や單語にけつこう出くはしました。まあ、物語として内容がつかめたのでいいとしたいと思ひます。 

その内容は、後嵯峨天皇(在位一二四二~一二四六)をモデルとした天皇が、ある少將の妻を見かけて横戀慕し、その妻は天皇の寵愛を受けることになり、そのおかげで、その夫が中將に昇進するといふ話です。なんだか、『アラビアン・ナイト』の中にありさうな話のやうですね? 

當時、鳴門は良い海布()のとれるところでありまして、良き妻()をもつた夫だつたので、鳴門の中將とよばれたといふ。別名、「なよ竹物語」 とも呼ばれてゐます。 

ただ、作者は不明で、書かれたのは、鎌倉時代の文永九年(一二七二年)頃とされてゐます。 

 

今日の《平和の俳句》・・「南方の父の句帖もまた戦記」(六十八歳男) 

〈金子兜太〉 日常を労って過ごすことが平和への道。戦火のなか俳句で支えられていた父よ。 

 

今日の寫眞・・讀み終へた、群書類從特別重要典籍集の 『多武峰少將物語・鳴門中將物語』 と 『多武峰少將物語』 の參考書。それと奥書。それによれば、ぼくも訪ねたことのある、温故堂文庫(塙保己一史料館)に保存されてゐる、櫻材の版木で印刷されたものですね。詳しくは、『歴史紀行 三』 の付録「塙保己一紀行」をご覽ください。 

今日のココ。