七月十三日(水)丙申(舊六月十日 曇天一時小雨

 

一昨日の深夜、といふより昨日の早朝、ダイヤル選局方式のラジオを聞いてゐて、おやと思ふことがありました。FM放送を聞いてゐたのに、上柳昌彦アナウンサーの聲が聞こえ、しかもきわめて鮮明に聞こえるのであります。上柳さんの「あさぼらけ」といふ番組のやうなんですが、伊豆を出て以來、ラジオにはほとんどご無沙汰してゐるので、とても懐かしく感じました。 

ところで、どうしてAM放送の番組がFMで聞こえるのか不思議でした。そこで、朝食のとき、それを思ひ出して、朝刊の番組覽を見て、思はずええつと思つてしまひました。なんと、TBSラジオにも、文化放送にも、そしてニッポン放送にもFMの周波數が記されてあり、要するに、ぼくの知らないうちに、まあ、さうなつてゐたといふわけなのであります。 

ニッポン放送は、川和時代から、そして伊豆の生活では缺かせない相棒のやうな存在でありまして、とくに、「鶴光の噂のゴールデンアワー」は、ぼくの血となり肉となつた番組でありました。また同時に、上柳さんの聲にもその話す内容にも親しみを覺えていたので、明け方の五時前に突然おはやうございます。なんて呼びかけられて、なんともうれしく思ひました。 

なぜラジオを、とくにAM放送を聞かなくなつたかと言へば、聞きづらくなつてきたからでありました。どうしても聞き取れないのです。ぼくの耳が難ぎみになつてきたのが原因でせうが、FM放送のはうは音樂番組も多いせいか、眠れない夜など聞いてをりました。が、これからはFM放送でAM放送を聞こうかと思ひます。 

 

先日の選擧の結果、與黨が三分の二以上の議席を占めたので、たしかに、改憲の要件の一つを充たしました。けれど、それとは反對に、世論では、改憲に反對の人々の方が斷然多いのには、喜んでいいのか、ならなぜ與黨に票を入れた人が多いのか不思議ですが、まあ、問題は、たとへ改憲が進められやうとしても、最期の砦となつてくれるであらうと期待したいのが、「國民投票」であります。『日本国憲法』には次のやうにあります。第九章〈改正〉の第九十六條第一項です。  

「この憲法の改正は、各議院の總議員の三分の二以上の贊成で、國會が、これを發議し、國民に提案してその承認を經なければならない。この承認には、特別の國民投票又は國會の定める選擧の際行はれる投票において、その過半數の贊成を必要とする。」 

ですから、もしかすれば、憲法を改正しないでおいて、壊憲といふか、憲法を骨抜きにする法律を軒竝み作り、明治憲法下のやうな状態にされてしまふことですね。それこそヒトラーのやり方が、繰り返されることになります。 

 

今日も、『歴史紀行』の修正をつづけ、第十七號まで仕上げることができました。 

 

今日の《平和の俳句》・・「平和祈る娘のおさげ編むごとく」(三十三歳女) 

〈金子兜太〉 一日の無事を祈る気持ちで毎朝娘の髪を編む作者。平和への思いも同じ。 

〈いとうせいこう〉 若い母ならではの句だ。小さな娘の髪を編む丁寧な祈りが世に通ず。 

 

今日の寫眞・・鶴光の「勤続25周年を祝う会」の模樣。當時の週刊誌の切り抜きより。ひざの上で眠るココ。でも、モモタにはないしよ。