二〇二二年四月(卯月)一日(金) 舊暦三月一日(甲申) 曇天のち晴

第十四回〈東山會春満喫の旅〉、半年ぶりの再開で、七人參加。今回は、“中仙道を歩く”旅で添乗員をしてくださつたその道のプロ・高橋さんが幹事となつてくださり、まことに充實した一日になる豫定であつたが、長瀞の岩畳の上で轉倒して身體を強打。みなさんとは途中(御花畑驛)でおわかれして早退したのであつた。

西武秩父驛發一四時二四分發特急“ちちぶ號”で直歸。迎へに出てくれた妻に南郷外科醫院に直行してもらつて診ていただいたところ、骨折はないとのことなので安心はしたけれど、左顔面は黑紫色に腫れあがり、左膝と左胸の骨も痛い。どういふわけか、兩手のひらも紫色に内出血してゐる! それにしても、滿開の枝垂れ櫻が見られなくて殘念無念!

今日の歩數・・・九七四〇歩

參考・・・本日豫定されたコース = 一〇時 JR熊谷駅・秩父鉄道熊谷駅改札前集合 → “SLパレオエクスプレス”  → 長瀞駅 → 桜並木 → 昼食(ガーデンハウス有隣) → 宝登山神社 → 岩畳 → 長瀞駅 → 秩父鉄道 → 武州中川駅 → 清雲寺枝垂れ桜鑑賞 → 29番札所長泉院の桜鑑賞 → 浦山口駅 → 秩父鉄道 → 御花畑駅 → 西武秩父駅≪祭りの湯にて入浴休憩≫ 解散

 

*熊谷驛にて。長瀞岩畳、轉倒直前の記念寫眞!

 

 


 

四月二日(土) 舊暦三月二日(乙酉) 晴

今日になつて痛むところが出てきたりして、一日中横になつて過ごす。片眼を冷やしてゐるので本もよめず。このところ聞くことのなかつたラジオをつけたら、伊東四朗と吉田照美のトーク番組が耳に入り、けつこう面白かつた。

 

四月三日(日) 舊暦三月三日(丙戌) 雨

今日は胸の痛みが増して、息をするたびに痛い。息を深く吸い込んだり、クシャミや咳がでたときにはうなり声をあげたくなるほどである。

目の腫れがおさまつてきたので、眼鏡をつけ、C・J・ボックス 『凍れる森』(講談社文庫) をよみすすむ。

 

四月四日(月) 舊暦三月四日(丁亥) 雨

今日は齒科へ通院の日だつたが、土曜日にキャンセルしておいてよかつた。終日横になる。

昨夜は寢ずらかつた。左胸の骨が痛むので、おかげで C・J・ボックス 『凍れる森』(講談社文庫) をよみあげてしまつた。これこそハラハラドキドキ、痛快とはいへないけれど。

 

四月五日(火) 舊暦三月五日(戊子・淸明) くもり

ますます體調がいけなくなつてきた。左胸の骨が痛いのに加へて、ペースメーカーのわきと首筋に内出血が現れた。痛みと内出血が移動してゐる? 明日、慈惠大學病院の齒科へ通院だが、循環器内科でも診てもらはうと思ふ。

幸田露伴著 『風流仏』(岩波文庫) 讀了。

 

四月六日(水) 舊暦三月六日(己丑) 晴

慈惠大學病院齒科へ通院。抜齒後の最終確認のためだつたのですぐに終了。ついでなので、循環器内科にかかり、轉倒して胸を打つたしだいを訴へたところ、ちやうどPC外來だつたので調べてもらつたら、ペースメーカーは壊れてゐないとのことで、安心した。

今日の歩數・・・三九六〇歩

 

四月七日(木) 舊暦三月七日(庚寅) 晴のちくもり

終日讀書。

C・J・ボックス 『神の獲物』(講談社文庫) 讀了。 

 

四月八日(金) 舊暦三月八日(辛卯) 晴

轉倒してから一週間。よく心臟が破裂しなかつたものだと思ふ。それでも、まだ左胸のあばら骨が痛い。また、もろに打つた左頬骨が腫れあがり、まるで小ぶりの卵のやうだ。

C・J・ボックスのつづきをよみたいと思ふが、アマゾンを見ると、人の足下を見るやうに高價なので、氣分をかへて、〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉 と同じスウェーデンの 〈刑事マルティン・ベック・シリーズ〉 をよみはじめた。よみはじめて氣づいたことだが、アイスランドにしろ、スウェーデンにしろ、どうして刑事の家族は悲慘なのだらうか。C・J・ボックスのアメリカ合衆國西北部の主人公の平和な家族(まるで『大草原の小さな家』の家族構成)とくらべると、無慘過ぎてよむ氣力を奪ふほどだ。

 

四月九日(土) 舊暦三月九日(壬辰・上弦) 晴

左胸と腋の下が痛くて終日横になつてゐた。

M・シュバール P・ヴァ―ル 『刑事マルティン・ベック ロセアンナ』(角川文庫) 讀了。

 

四月十日(日) 舊暦三月十日(癸巳) 晴

今日も大事をとつて横になつてすごす。ところがだんだん心臟の近くが痛くなつてきて、周りの骨や筋肉が痛いのか、心臟自體がダメージを受けて痛いのかが判明しない。

昨夜、『平家物語 百二十句本 四』(古典文庫)、卷第八・第七十四句〈柳が浦落ち〉までよみすすんだら、そこに「淸經入水」の場面があつた。入水場所は、「現在の大分県宇佐市柳ヶ浦地区・駅館川沖合」といはれてゐるらしい。二〇一九年六月に、秦恒平著 『清経入水』(角川文庫) をよんだとき、あまりにも面白くないので放り出したくなつたことを思ひ出した。

 

四月十一日(月) 舊暦三月十一日(甲午) 晴

今日は日本橋の齒科へ通院。先週は轉倒後の大事をとつて休んでしまつたが、丹念に診ていただいて安心する。

終了後、神田驛經由で高圓寺の古書會館に直行。けれども、すべて五十圓均一で、掘出し物はなかつた。次いで、荻窪まで行き、店名をかへた 「古書ワルツ」 とブックオフを訪ねた。

エド・ゴーマン 『影たちの叫び』(創元推理文庫) 讀了。先月、同じ著者の 『夜がまた来る』 をよんでゐるのだが、まつたくおぼえてゐない。

今日の歩數・・・6410歩

 

四月十二日(火) 舊暦三月十二日(乙未) 晴、暑い

今日は慈惠大學病院へ通院。循環器内科診察後、(ミカ先生のご主人だといふ)整形外科の醫師に診ていただき、あらためて胸の骨折やらヒビは見られないとの診斷で一安心。けれども疲れたのですぐに歸宅した。

今日の歩數・・・4990歩

 

四月十三日(水) 舊暦三月十三日(丙申) 晴

今日は床屋に行つた。今年に入つてからはじめてか、三、四か月ぶりである。そもそも、「当分の間休みます」 と貼紙がしてあつてから、昨日再開しますとあつたので、やつと出かけてまたさつぱりと刈り込んでもらつたのである。

 

荒俣宏選 『異彩天才伝 東西奇人尽し』(福武文庫) 讀了。面白かつた。人物傳がおもしろい。

 

四月十四日(木) 舊暦三月十四日(丁酉) 小雨、寒い

終日起きられず、横になつてゐた。たびたび夢をみては起き、胸騒ぎがしてならなかつた。胸の痛みはしだいにおさまつてはきたけれど、まだまだ抜けきれさうにない。

坪内祐三 『考える人』(新潮文庫) をよみはじめたら止まらなくなる。

 

四月十五日(金) 舊暦三月十五日(戊戌) 雨、寒い

終日讀書。

夜、久しぶりにアマゾンで映畫 “Mr.ノーバディ” をみる。いやあ、元氣がでる映畫だつた。

 

四月十六日(土) 舊暦三月十六日(己亥) 曇りのち晴

歩いてからだをうごかすために古本市をたずねた。まるで立ち止まつたまま動かない馬の目の前にニンジンを吊り下げるやうに、ぼくには古本めぐりと外食が欲望を喚起させる。さうでもしないと横になつたまま何日でも動かないでゐられるのだから始末におへない。

新鎌ヶ谷驛前のアクロスモール新鎌ヶ谷店で開催中の古本市は文庫本が多く、案の定今日もたくさんの掘出し物を探し出すことができた。と言ふより、坪内祐三さんの 『考える人』 等によつて、手に取つてみたい本、よんでみたい本がこのところぞくぞくと出てきてしまつたのだ。

たとへば、長谷川四郎なんていふ作家は名前も知らなかつたけれど、ぜひよんでみたいと思はせられた。それが今日いきなり目に飛び込んできたのだつた。『九つの物語』(青土社) といふ、帶には、「とっても変でとっても素敵なお話し絵本」とあり、「安野光雅画」なのだから、見つけたときには「しめた!」と思つたものだ。

ところが、左胸と腋の下が肩がこるやうにしびれはじめたので歩行もままならず、柏驛の高島屋新館で五目あんかけ焼きそばを食べてから、どうにか歸路に着いた。

昨夜、唐木順三 『無用者の系譜』(新潮社版日本文化研究) 讀了。在原業平と一遍上人が面白かつた。

また、坪内祐三 『考える人』(新潮文庫) 讀了。さらなる讀書慾を喚起してくれた!

今日の歩數・・・四五九〇歩

 

四月十七日(日) 舊暦三月十七日(庚子・滿月) 晴のち曇り

昨日求めたカール・バルト 『今日の時代における個人』(一麦出版社) 讀了。これは、一九五七年にラヂオ講座で語られたものなので小册子だつたが、今のぼくには考へさせられることばかりだつた。

また、これも昨日求めた山本夏彦 『私の岩波物語』(文春文庫) をよみはじめたら、その面白さにショック! 岩波の「功罪?」とときたま聞くけれど、その「罪」をかうも的確に述べた文章に接したのははじめてである。曰く、「私は岩波の罪の最も深いものは全知識人をこの 『岩波用語』 で支配したことだとみている」。たとへば、「岩波は外国語の出来るだけの人を重く用いて、その人の日本語能力を問わなかった。英雄伝だから手に汗にぎるはずのものが、世にも退屈なものになっている。こんなにつまらなくするのは人間業ではない」。と皮肉ることも忘れない。 

 

四月十八日(月) 舊暦三月十八日(辛丑) 曇天のち雨

まだ左胸と肩の痛みが消えない。そこで、妻のすすめで、腰ベルトを胸にまいてみた。これがきいたやうで、壓迫感はあるが痛みはうすらいできた。

終日讀書。M・シュバール P・ヴァ―ル 『刑事マルティン・ベック 煙に消えた男』(角川文庫) 讀了。

 

四月十九日(火) 舊暦三月十九日(壬寅) 晴

古本散歩。御茶ノ水驛前の御茶ノ水ソラシティ古本市に出かける。

ところが、途中でまた左胸と肩の痛みが出はじめたので、古書店街へは行かず、誠鮨でランチのちらし壽司をいただき、秋葉原驛のブックオフを訪ねてからそのまま歸宅する。

山本夏彦 『私の岩波物語』(文春文庫) 讀了

今日の歩數・・・三八八〇歩

 

四月廿日(水) 舊暦三月廿日(癸卯・穀雨) 曇天

池波正太郎 『一升桝の度量』(ハルキ文庫) 讀了

 

四月廿一日(木) 舊暦三月廿一日(甲辰) 晴のち曇天

終日讀書。晝は、驛前のタカノに行き、タンメン餃子をたべる。

夜、アマゾンで映畫 “グッド・ネイバー” をみる。

 

四月廿二日(金) 舊暦三月廿二日(乙巳) 晴、暑い

朝一で日本橋の齒科へ通院。ところが、治療していただきながらも腋の下が痛み、そつと右手の指で指壓をしつつこらへた。

終了後、都營淺草線にて五反田に直行、南部古書會館を訪ね、また、淺草線と三田線經由で神保町に行き、まづはアルカサールで和風ステーキをいただいた。三省堂が五月八日まで營業することを確認し、次いで、神田の古書會館へ。

今日の歩數・・・七三五〇歩

 

四月廿三日(土) 舊暦三月廿三日(丙午・下弦) 晴

終日横になる。左肩と腋の下の痛みは、左手の手のひらと上腕の筋を指壓したせいか、だいぶうすらいできた。

夜、ユーチューブで、かつてフジテレビで何週かにわたつて放映した、仲代達矢主演の “松本清張 砂の器” を見た。コマーシャルでとぎれることなく一氣にみることができた。

 

四月廿四日(日) 舊暦三月廿四日(丁未) 曇りのち雨

終日横になる。

森銃三 『近世人物夜話』(講談社文庫) と 長谷川四郎 『九つの物語』(青土社) 讀了。

 

四月廿五日(月) 舊暦三月廿五日(戊申) 晴、暑い

いい天氣になつたので、まづ掛フトンを干し、シーツをかへた。それから妻に綾瀨驛まで送つてもらひ、柏に行く。ところが太平書林は休み。高島屋新館五階の本屋のベンチで休みがてら讀書。一二時半に玄品柏店に入り、いつもの正午膳をいただいた。はじめてノンアルコールビールのオールフリーを飲んだけれど、のどごしがよくておいしかつた。が、これ以上歩けないと思ひ、すぐに歸宅した。

歸宅後横になり、それからシャワーをあびて坊主頭も洗つて、さつぱりした。

森銃三 『物いふ小箱』(筑摩書房) 讀了。

今日の歩數・・・三二二〇歩

 

四月廿六日(火) 舊暦三月廿六日(己酉) 曇天のち雨

先日二册一〇〇圓で求めた、池波正太郎の 『雲霧仁左衛門 前編・後編』(新潮文庫) をよみはじめた。テレビで連續ドラマ化したのをみてゐたが、原作とはだいぶおもむきがちがふ。

晝、妻と綾瀨に行き、“やぶそば” で天ざるをいただき、買物して歸宅。

 

四月廿七日(水) 舊暦三月廿七日(庚戌) 曇天 

池波正太郎 『雲霧仁左衛門 前編』(新潮文庫) 讀了。

 

四月廿八日(木) 舊暦三月廿八日(辛亥) 曇天

古本散歩。だが、まづ神保町の成光でチャーシューメンが食べたくて直行。滿腹後古本めぐりで、文庫本を數册求める。

今日の歩數・・・五七五〇歩

 

四月廿九日(金) 舊暦三月廿九日(壬子) 曇天のち風雨

午後、純子さんが來てくださり、整體をほどこしてくださる。今回もきもちよかつた。

池波正太郎 『雲霧仁左衛門 後編』(新潮文庫) 讀了。どうしたわけか、尻切れトンボのやうにして終はつてしまつたのが心殘り。

夜、ベッドのそばに移したデスクトップパソコンで、映畫 “ロスト・シティZ─失われた黄金都市─” をみる。

 

四月卅日(土) 舊暦三月卅日(癸丑) 晴

今日は古本市をはしごした。神田と高圓寺の兩古書會館である。収穫は、單行本が二册はいつてしまつたけれど、みな氣に入つた文庫本。

求めたうちの、福田淸人著 『流謫地』(冬至書房) を歸宅するまでに讀了。これはきつと チェーホフの 『シベリヤの旅』 を翻案したものではないかと思ふ。

今日の歩數・・・六三一〇歩

 

 

四月一日~卅日 「讀書の旅」 ・・・』は和本及び變體假名・漢文)

四日 C・J・ボックス 『凍れる森』 (講談社文庫)

五日 幸田露伴著 『風流仏』 (岩波文庫 舊字舊假名)

七日 C・J・ボックス 『神の獲物』 (講談社文庫)

九日 M・シュバール P・ヴァ―ル 『刑事マルティン・ベック ロセアンナ』 (角川文庫)

十一日 エド・ゴーマン 『影たちの叫び』 (創元推理文庫)

十三日 荒俣宏選 『異彩天才伝 東西奇人尽し』 (福武文庫)

十五日 唐木順三 『無用者の系譜』 (新潮社版日本文化研究)

十六日 坪内祐三 『考える人』 (新潮文庫)

十七日 カール・バルト 『今日の時代における個人』 (一麦出版社)

十八日 M・シュバール P・ヴァ―ル 『刑事マルティン・ベック 煙に消えた男』(角川文庫)

十九日 山本夏彦 『私の岩波物語』 (文春文庫)

廿日 池波正太郎 『一升桝の度量』 (ハルキ文庫)

廿四日 森銃三 『近世人物夜話』 (講談社文庫 新字舊假名)

廿四日 長谷川四郎 『九つの物語』 (青土社)

廿五日 森銃三 『物いふ小箱』 (筑摩書房)

廿七日 池波正太郎 『雲霧仁左衛門 前編』 (新潮文庫)

廿九日 池波正太郎 『雲霧仁左衛門 後編』 (新潮文庫)

卅日 福田淸人著 『流謫地』 (冬至書房)