2023年11月1日(水) 晴

終日讀書。筒井康隆 『エディプスの恋人』(新潮文庫) 一氣に讀了。

ちなみに、今日讀みつづけたのは 『現代日本紀行文学全集-北日本編』 『荷風と東京(下)』 『高橋克彦版-四谷怪談』 『阿房列車』 『恐怖・恐怖対談』 『日本奇僧伝』 『宇治拾遺物語-巻第十一』 『地藏菩薩靈驗記』 『謠曲物語』 『東西遊記』、江滋國 『読書日記』、坪内祐三 『三茶日記』、林達夫 『共産主義的人間』、それに 『老子・荘子』。  

 

11月2日(木) 晴

終日讀書。高橋克彦 『高橋克彦版-四谷怪談』(講談社文庫) 讀了。

先日とどいた 『武器になる哲学-人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』 の〈プロローグ〉を讀んでみた。日本と世界が存在しつづけるために、とくにビジネスマンにたいして必要不可欠な議論が展開されてゐるやうなのだが、ぼくの感じとしてはもう手遅れで、とくに日本には明日はないとおもつてゐる。ただ餘澤にあづかつて今日明日を樂しむしかないのだ。 

 

11月3日(金) 晴暑い

神田古本まつり最終日。まづ古書會館の古本市を覗いたら、和本の山の中に法然上人の傳記 『勅修圓光大師御傳記』(全四十八卷十二册) を發見。以前やはり和本で 『法然上人繪傳』 を岩波文庫版とともに讀んでゐるのだが、その時の和本は三册ばかりけてゐたので藏書整理のときに處分してしまつたのだつた。今日のは版が小型で全卷揃ひである。和本だから輕いので持ち歸るのもらくで、歸宅後すぐに讀みはじめた。『宇治拾遺物語』 とともに變體假名を忘れないためでもある。さらに、いづれ 『源氏物語』 の第三部「匂宮」以下を讀まなければならない。

ところで今日も靖国通り沿ひの靑空掘り出し市を、駿河臺下から専大前交差點まで人ごみをかきわけかきわけ行進し、半藏門線經由で歸路についた。

今日の収穫・・『圓光大師傳』(和本全十二冊) 『逃げる旗本』 『行きゆきて峠あり』 『王朝百首』 『旅の窓』

今日の外出・・3900歩 

 

11月4日(土) 晴

終日在宅、讀書。昨日求めた 『勅修圓光大師御傳記-第一~第四十八』 全十二册のうち一冊目 『圓光大師傳-一~四』 を一氣に讀了。再讀だからかもしれないけれど變體假名もやさしくそれに挿繪が多い。つづけて讀んでいきたい。

午後、純子さんこられ妻につづいて施療をうける。 

 

11月5日(日) 晴

高円寺古書會館まで古本散歩。収穫は昭和21年1月初版の永井荷風 『罹災日録』(扶桑書房) くらゐか。晝は近くのギョウザの滿州でタンメンとギョウザ。歸路、秋葉原のブックオフにより、さらに中央通りを末広町驛まで歩き、イアホン専門の店を訪ねたけれど、探してゐた品はちやうど切れてゐた。それにしても秋葉原、ものすごい人出で休日には二度と出かけまいとおもつた。

今日の収穫・・『新鐵道唱歌』 『罹災日録』 『さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記』 『銀齢の果て』

今日の外出・・携帶を忘れてはかれず 

 

11月6日(月) 晴

日本橋の齒科醫院に通院、治療繼續。

治療後銀座線で新橋に出、今日からはじまつたSL廣場の古本市を探索。といつても、近ごろわかつてきたことだが、古本市は要するに巡回してゐるやうで、見たことのある本がならんでゐることがある。だが、買ひそびれたものが目に入る場合もあり何册か購入した。

歸宅すると注文した立原正秋 『女の部屋』(文藝春秋) が届いてをり、一氣に讀んでしまつた。百目鬼恭三郎が 『風の文庫談義』 のなかであげてゐた一册でたしかにおもしろかつた。

今日の収穫・・『井伏鱒二対談集』 『日本の庭』 『江戸東京街の履歴書-番町・九段・麹町あたり』 『人物叢書-大江匡房』

今日の外出・・6420歩 

 

11月7日(火) 強風雨のち

終日在宅。床からはなれられず、時々讀書。  

 

11月8日(水) 晴

ひるま弓道仲間の齋藤さんから電話があり、舊交をあたためようと提案されたので、12月に入つたら細田のそば屋で坂本宮司さんを交へて三人で會食することにした。

筒井康隆の 『銀齢の果て』 がおもしろくてやめられずに讀了。壮絶な老人どうしのバトルがすごすぎる。「増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いをさせる『老人相互処刑制度』を開始した!」 その結果なのだが、ただ登場人物に 「老人を殺すことは過去を殺すことです。これはつまり子供を殺すことが未来を殺すことになると考える考え方と同じです」 と語らせてゐるところがまじめな著者らしい。 

 

11月9日(木) 晴

朝、掛け布團をベランダに干し、ベッドのシーツをかへた。それから青砥驛のそば屋で鴨南蛮を食べ、浅草橋驛經由で高円寺の古書會館をたづねた。今日は文庫本が多くてしかも珍しいのが目についてしかたなかつた。單行本ではドナルド・キーンさんの 『続-百代の過客・日記にみる日本人』 と 『聖のみあとー法然上人ご遺跡五十話集』 の二冊、文庫本は阿佐田哲也と寺山修司が二册づつと滝田ゆうの 『泥鰌庵閑話』 が今日の収穫といつたところ。

歸宅すると東山會の渡邉さんから封書が届いてをり、「歴史探訪の旅ー天皇陵墓を訪ねる(京都編)」が入つてゐた。すぐに電話して感謝とともに感想をおつたへした。また旅の誘ひをうけてしまつた。ありがたい。 

今日の収穫・・『聖のみあと 法然上人ご遺跡五十話集』 『続-百代の過客・日記にみる日本人』 『さかさま世界史怪物伝』 『花嫁化鳥』 『阿佐田哲也の怪しい交遊録』 『先天性極楽伝』 『泥鰌庵閑話(上下)』 

今日の外出・・3950歩 

 

11月10日(金) 雨、寒くなつた

終日讀書。江國滋 『読書日記』(朝日新聞社) 讀了。同 『続 読書日記』 とともにドナルド・キーン 『百代の過客・日記にみる日本人』 を讀みはじめる。『百代の過客』 のはうは正續そろつたからだが、平行して讀む本がまた多くなつた。しかしこのはうが時間はかかるが一册づつ讀み通すよりそれぞれの印象が深くなることがわかつた。 

 

11月11日(土) 曇天寒い

終日横になつて讀書。『圓光大師傳第五~八』(第二册) 讀了。第三册 『第九~十二』 を讀みはじめる。また 『宇治拾遺物語 卷第十一』 も讀了。卷第十二に入る。どちらかといふと 『宇治拾遺物語』 のはうが變體假名がむづかしい。語彙そのものがむづかしいのだらうとおもふ。 

 

11月12日(日) 雨のち曇天、いきなり冬がきたやうな寒さだ

終日讀書。川本三郎 『荷風と東京(下) 「断腸亭日乗」私註』(岩波現代文庫) 讀了。「荷風の日記 『断腸亭日乗』 を読みこんでいき、そこから荷風の文学、生活、そして荷風が生きた時代と荷風が愛した東京の細部を浮かび上がらせていく」内容で、おもしろく勉強になつた。 

 

11月13日(月) くもり、寒い

今日も終日在宅、讀書。村松友視 『ヤスケンの海』(幻冬舎文庫) 讀了。編集者ヤスケンつまり安原顯の 「壮絶かつ切ない完全燃焼の生涯」 を感動して讀みおはつた。そのヤスケンの 『ヤスケンがえらぶ名作50選-乱読すれど乱心せず』 も 『文庫本の快楽-ジャンル別ベスト1000』 もすでにある。一氣に讀み通すこともないが、枕もとにおいておきたい。

明學時代の友人から、寫眞を整理してゐたら出てきたといつて、当時の寫眞とメールがとどいた。50年以上も昔の學生運動ただなかの思ひ出だ。懐かしく思ひつつ返信した。 

 

11月14日(火) 快晴

昨日は體調がすぐれなかつたので、今日こそはと自ら元氣づけて古本あさり兼外食散歩のために柏に出かけた。太平書林はまいど掘り出しものがあつて樂しい。筑波大学民俗学研究室編の 『「宮本常一」論』 とツバァイク全集の 『権力とたたかう良心』 等。晝食は玄品で正午膳のコース、久しぶりに腹いつぱい堪能。

腹ごなしをかねて船橋經由京成市川真間へ、知新堂書店と春花堂を訪ねて兩店主と話しこんでしまふ。それで、夕方母がデイサービスから歸る前にからうじて歸宅ができた。

夜、吉行淳之介 『恐怖・恐怖対談』(新潮文庫) 讀了。つづいて 『特別恐怖対談』 に入る。また今日求めた石坂洋次郎の 『老いらくの記』、冒頭が「七十六歳の実感」なので興味しんしん。

今日の収穫・・『「宮本常一」論』 『権力とたたかう良心』 『老いらくの記』 『ありんす国伝奇』 『おれたちと大砲』

今日の外出・・5360歩 

 

11月15日(水) 晴

終日讀書。昨日春花堂で求めた石坂洋次郎 『老いらくの記』(朝日文庫) 一氣に讀了。おもしろく參考になつた。「社会の実務を避け、貧乏に堪え、酒や女にひたり、仲間同士罵り合ったり共鳴したりして文学の勉強に励んだ人々に較べると、私の辿った道は俗っぽい平凡きわまるものだった」といふ言葉が印象に殘つた。 

 

11月16日(木) 晴

終日讀書。今日はたくさん讀みすすんだ。圓光大師傳、宇治拾遺物語、地藏菩薩靈驗記、東西遊記、日本奇僧伝、阿房列車、特別恐怖対談、サンカの民を追って、共産主義的人間、百代の過客、続読書日記、三茶日記、探偵は眠らない、そして老子・荘子。老子を讀んでゐるとだいたいが寢てしまふ。これらにまだ荷風と風太郎が加はりさう! 

 

11月17日(金) 雨のち曇天

日本橋の齒科醫院に通院、治療繼續。順調。歸路高島屋の文房具賣り場などをぶらついて時間をつぶし(治療後一時間は食事禁止のため)、上野驛アトレの麻布茶房の五目あんかけ焼きそばを食べて歸宅する。

ところで朝、京成上野驛から地下鉄銀座線への通路の階段で最後の段を踏み外しころんでしまつた。倒れたからだを右ひじでうけとめたから大事にいたらなかつたけれど、少し擦りむいたやうだ。用心用心。

『圓光大師傳第九~十二』(第三冊) 讀了。第四冊『第十三~十六』 を讀みはじめる。 

 

11月18日(土) 晴

終日在宅、横になつて讀書。 

 

11月19日(日) 晴

終日讀書。横になつて旅をした。『阿房列車』 東北本線福島から淺蟲青森を經て奥羽本線秋田まで、先日手に入れた昭和35年度版の 『鉄道路線図』 をながめつつ、うとうとしながらも走り通した。それから乘りかへて、ケン・ブルーウン 『酔いどれに悪人なし』(ハヤカワ文庫) を讀みはじめたらやめられなくなり、たうとう讀了。 

 

11月20日(月) 晴

昨夜おそく、妻が目を赤くしてぼくのベッドルームに飛び込んできた。何事かと聞くと、今、テレビで自閉症兒のことをやつてゐるのを見て感動したその内容を報告しだした。ぼくも聞きながらもらい泣きしてしまつた。

さて今日は腰椎圧迫骨折の記念の日である。一年前の11月18日、京王線南大沢驛前でおこなはれた古本市で腰の痛みがしようじ、病院通ひがはじまり、一時は救急車の世話にもなつたのだつた。そしていまだに完治せず、痛みが殘つてゐる。が、そこでリベンジである。御茶ノ水驛から特快で八王子驛經由、横浜線橋本驛から京王線で南大沢驛。風が冷たかつたけれど日ざしは暖かく、無事リベンジを果たすことができた。ただ収穫はほとんどなし。それでも仕上げは町田の柿島屋の馬刺。堪能して歸路につく。

ところで、町田驛の驛ビルにゐるときにマキさんから電話があり、今入院してゐるけれどいつ最期を迎へるかわからない。その時は家族葬をしたいので賴むと依賴されてしまつた。考へておくよとは言つたけれど、どうなることやら惱んでしまふ。

今日の収穫・・中公新書の 『シュテファン・ツバァイク』 と浅田次郎の 『流人道中記(上下)』。

それに歸宅すると“もったいない本舗”から 『病みたる秘剣』 がとどいてゐたが、だいぶ色褪せ、表紙がとれさうであぶなつかしい。以前にもちよいとひどいなといふことがあり、もう“本舗”に注文するのをやめようと思ふのだが、他の店にはなかつたりすることもあるので惱んでしまふ。

夜、内田百閒 『阿房列車』(旺文社文庫) 讀了。

今日の外出・・5560歩 

 

11月21日(火) 晴

朝、南郷整形外科に通院。ひと月ごとの注射と背骨のレントゲン撮影。だいぶ修復されたやうで胸と腰をなでさする。

マキさんに電話すると面會可能だといふので、病院前からタクシーで北千住驛まで乘り、日比谷線で築地へ。ついでなので外國人で混雑する築地市場を見て歩き、すし一番といふ店に飛び込んで、みる貝、赤貝、靑柳、とり貝、馬刺、中とろを、もちろん一貫ずつだがいただいて腹いつぱい。聖路加病院まで腹ごなしして、面會時間前だつたけれど許可された。

 マキさん、思つたより元氣で、氣になってゐた葬式のことは奥さんが承知ですでに近くの「会館」に連絡してあるさうなのでほつとして、必要なマキさんの經歴などを詳しく聞くことができた。

今日の外出・・6580歩 

 

11月22日(水) 晴

11月22日(水)睛

終日讀書。吉行淳之介 『特別恐怖対談』(新潮文庫) 讀了。對談がおもしろい。他にもありさうだ。 

 

11月23日(木) 晴

終日讀書。『宇治拾遺物語卷第十二』(和本) 讀了。つづいて卷十三に入る。 

 

11月24日(金) 晴暖か

五反田と神田の古書會館の古本市をはしごした。収穫は數册。晝は広州市場といふいつもは行列ができてゐる店がめづらしく空いてゐたのでワンタン麺を食べた。今日は歩き疲れた。

夜、岡本綺堂他 『サンカの民を追って-山窩小説傑作選』(河出文庫) 讀了。

今日の収穫・・『還暦老人ボケ日記』 『飲らずに言えるか!』 『笹塚日記』 『人生はデーヤモンド』 『土方歳三への旅』 『内田百間と私』

今日の外出・・5610歩 

 

11月25日(土) 晴のち曇り

終日在宅、讀書。昨夜、色川武大 『ぼうふら漂遊記』(新潮文庫) 讀了。

午後、純子さん來てくださり、施術をうける。

また、『探偵は眠らない(下)アメリカ私立探偵作家クラブ傑作選(Ⅰ)』(ハヤカワ・ミステリ文庫) 讀了。短編集で當たりはずれあり。 

 

11月26日(日) 雨のち曇天

昨夜といふか夜中に(結局徹夜して)、江國滋 『続読書日記』(朝日新聞社)、宮元啓一 『日本奇僧伝』(ちくま学芸文庫)、それに 『勅修圓光大師御傳記第十三~第十六』(和本) を讀了。

また坪内祐三 『三茶日記』(本の雑誌社) も讀了。江國さんと坪内さんからはたくさん刺激をうけ、守備範圍がまたまた廣くなつてしまつた。

坪内さんにつづいては年代的にも内容的にもつづきの目黒考二 『笹塚日記』 を讀みはじめる。さう山田風太郎にも登場を願はう。 

 

11月27日(月) 晴

日本橋の齒科醫院に通院。豫定は30日だつたが急遽變更の連絡がはいり、朝早いご出勤となつたものだ。主治醫の院長具合ひがよくないらしい。

歸路半蔵門線で神保町に出て成光のラーメンをいただき、靖国通りを専大交差點から神保町交差點まで探索、〆は白山通り沿ひアモールショップの文庫本二册百圓コーナー。半蔵門線東武線京成線經由で歸宅。階段の上りがきつく、明日の諸檢査が心配である。

『現代日本紀行文學全集-北日本編』(ホルプ出版) やつと讀了。

今日の収穫・・『大伴家持』 『古人往来』 『山窩は生きている』 『最長片道切符の旅』 『アブサン物語』

今日の外出・・4830歩 

 

11月28日(火) 晴

新橋の慈惠醫大病院に通院。今回も血液檢査は順調だが、不整脈が出てゐることを注意された。ペースメーカーの目をかすめてチェックされてしまつたらしい!

夕方聖路加病院で浜松の節子さんと待ち合はせてマキさんを見舞ふ約束の時間まで神保町に回る。短時間だつたが探してゐた 『植草甚一日記』 と唐木順三の 『続 あづまみちのく』 を見つけることができた。

マキさんを見舞つたのち、服部さんマキさん秀子さん眞理子さんにつづき、節子さんにも上野玄品でフグをごちそう、滿足して浜松に歸つてゆかれた。

外出のたびにオールコックの 『大君の都ー幕末日本滞在記ー』 を讀み進んでゐるがちつとも面白くない。日記でもなければ紀行でもない。あとあとまとめた感想文集のやうで、それならヒュースケンやハリスの日記からもうかがへることで、これらのはうがはらはらしてゐてだんぜん面白かつた。

今日の収穫・・『別冊新評-山田風太郎の世界』 『植草甚一日記』 『続-あづまみちのく』 『言語姦覚』

今日の外出・・7450歩  

11月29日(水) 晴

終日讀書。『圓光大師傳』 の途中だが、同じく和本の 『伊曾保物語』(全三卷) の誘惑に抗しきれずに讀みはじめる。變態假名がわかりやすい。 

 

11月30日(木) 晴

終日在宅、讀書。『笹塚日記』 を讀み進むが、こちらは本漁りといつても新本ばかり。そのてん坪内さんの 『三茶日記』 は古本中心だつたからより面白かつた。また日々せわしなくて競馬の話題が多すぎる。まあ、讀書の目的が違ふといふこともあるのでせう。