四月十六日(木)舊三月廿四日(己丑・土用) 晴のち曇り

 

今日は休息日。と言ふまでもなく、一日中うとうと過ごす。 

 

五木寛之著 『隠された日本 加賀・大和 一向一揆共和国 まほろばの闇』 讀了。 

内容紹介・・・五木寛之が日本史の深層に潜むテーマを探訪するシリーズ「隠された日本」の第四弾。人々を惹きつけてやまない古都の、もう一つの顔とは? 加賀百万石の城下町・金沢が成立する前には、百年近く続いた「百姓の国」があった。第一部では、この共和国と、一向一揆の真実に迫る。第二部では、生と死の世界をわける結界・二上山をめぐる謎と、「ぬばたまの闇」と形容される大和の深い闇を追求する。 

 

東京で一四九人感染。都内の感染者は、これで二五九五人。国内では新たに四〇〇人以上の新型コロナウイルス陽性が確認され、感染者の累計は九〇〇〇人を超えた 

 

 

四月十七日(金)舊三月廿五日(庚寅) 晴のち曇り

 

昨夜、田中小実昌さんの 『香具師の旅』 を讀みはじめた。以前讀んだ 『ポロポロ』 もさうだつたが、物語は戰時の軍隊での經驗と、戰後の悲慘な生活の模樣が舞臺で、自傳的短編集といつた感じである。 

しかし、なにげなく書かれてゐることが、じつはたいへん難しい哲學的な命題であつたり、能ある鷹は爪を隠すといふけれど、小実さんは哲學を學んだひとだし、と思つたら、書庫に積み重ねたままにしておいた本を思ひ出した。 

『カント節』(一九八五年)、『モナドは窓がない』(一九八六年)、『なやまない』(一九八八年)、『アメン父』(一九八九年)、『ないものの存在』(一九九〇年)の五册で、毛倉野時代に、讀もうと意氣込んで求めたはいいけれど、その後氣が移つてしまつたらしい。小実さんには、『高い窓』 や 『血の収穫』 等の翻譯書も多いが、何册かそれでも讀んだのか、ちよいと記憶がぼやけてゐる。 

 

都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに二〇一人確認され、一日當たりの感染者として過去最多、都内の累計感染者は二七九六人となつたといふ。 

それで、人とは從來の八割の接觸を避け、不要不急の外出は控へるようにといふことだけれど、まあ、ぼくの古本散歩と外食は我慢できるにしても、買ひ物に出かける妻をとめることはできない。妻は我が家の生命線であり、外出のときは常に氣がかりである。

 

それなのに、今朝食卓にゐると、妻が小さなビニール袋を持つてきて、これもう捨てることにしたといふ。何かなと見ると、なんと懐かしいタマムシと四つ葉のクローバーである。毛倉野で採取したもので、その時は期待と希望をもつて集めたのに、何年も何十年もたつのに、何もいいことがないといつて、妻はギブアップしてしまつたらしいのである。コロナに加へて、いやコロナ以上に危険な兆候である。 

 

夜、BS11の番組 「京都浪漫 知恩院」 をみる。法然上人を祖師とする知恩院だが、ぼくは、〈中仙道を歩く〉の最終日に、その三門前にたたずんだだけで、境内に入つたことがなかつた。今回、九年かけた御影堂修復作業が完成したといふ、その姿を見せてもらつたが、まあすばらしいこと。 

ただ、殘念なことに、知恩院は、徳川家康が永代菩提所と定めたためだらう(一六〇三年・慶長 八年)、江戸幕府におねだりして作られたといふことが氣に入らない。その點で、五木寛之さんの言葉を信じるならば、蓮如の本願寺はすべてを信徒の寄付でまかなつたといふのだからえらい。 

 

 

 

四月十八日(土)舊三月廿六日(辛卯) 雨風強く、夕方にはやむ

 

今朝、近頃最大のミスを犯してしまつた。食後の藥を間違へて飮んでしまつたのである。飮む前に數をかぞへたら九錠あつたので安心して飲み終はつてみたら、新聞紙のかげにもう一錠あつた。それであらためて飮んだあとのカラを見たら、ワーファリンを一錠餘分に飮んでゐたことがわかつたのである。これは大變だと思つたけれどあとのまつり。明日以降調節しながら飮むことにして、今日は體調に氣をつけながらすごした。 

この數か月、どうにかからだのバランスがとれてきて、安心してゐたのに、ちよいと安心しすぎてゐた嫌ひがあつた。新型コロナウイルスもさうだけれど、バランスが崩されたときが恐い。

 

小実さんの 『香具師の旅』 を讀みつづける。 

 

東京都で新たに一八一人の新型コロナウイルスの感染が確認される 

 

*藥用ポケットカレンダー と グレイの肉球

 


 

 

四月十九日(日)舊三月廿七日(壬辰・穀雨) 晴、暖かい

 

昨夜、田中小実昌さんの 『香具師の旅』 を讀了。 

内容紹介・・・復員後、戦災孤児を集めて暮らし始めた浪曲師朝日丸。パンパン狩りを逃れて地下室に逃げ込んできた耳の不自由な女の子、ミミ。戦後の動乱期にめぐりあったちよっと不思議な人びとのちょっと不思議な生き方を、コミさんならではの語り口で描き出す傑作短編集。直木賞受賞作収録。 

つづいて、同じ小実さんの 『カント節』 と、さう、ヰルヘルム・ブーセ著・林達夫譯 『イエス』(岩波文庫) も讀みはじめてみる。 

さらに、『源氏物語〈螢〉』 も讀みすすむ。 

 

もうひとつ心配なのは、母のデイサービスである。日曜日の今日は休みだけれど、このコロナ騒ぎでいつ休業になるかわからない。 

 

東京都で新たに一〇七人の感染を確認。これで都内の感染者数は三〇八二人となる。 

 


 

 

四月廿日(月)舊三月廿八日(癸巳) 雨

 

『源氏物語〈螢〉』 讀みすすむ。 

 

注文した、田中小実昌著 『くりかえすけど』(銀河叢書) が屆いた。小実さんが亡くなつたのちに出された、「単行本未収録作品集」である。帶のことばがいい! 

「世間というのはまったくバカらしく、おそろしい。テレビが普及しだしたとき、一億総白痴化──と言われた。しかし、テレビなんかまだ罪はかるい。戦争も世間がやったことだ。一億総白痴化の最たるものだろう」 

 

東京都で廿日、新型コロナウイルスの感染者が新たに一〇二人確認された。  

 

 

四月一日~廿日 「讀書の旅」 ・・・』は和本及び變體假名・漢文)

 

三日 佐々木 譲著 『警官の血(上)』 (新潮文庫) 

五日 佐々木 譲著 『警官の血(下)』 (新潮文庫) 

八日 佐々木 譲著 『警官の条件』 (新潮文庫) 

十日 佐々木 譲著 『仮借なき明日』 (集英社文庫) 

十二日 五木寛之著 『隠された日本 大阪・京都 宗教都市と前衛都市』 (ちくま文庫) 

十三日 『宇治拾遺物語 卷第四』 (第一話~第十七話) 

十六日 五木寛之著 『隠された日本 加賀・大和 一向一揆共和国 まほろばの闇』 (ちくま文庫) 

十八日 田中小実昌著 『香具師の旅』 (河出文庫)