正月三日(木)舊十一月廿八日(庚子 晴

 

今日は靜かに、『尾州家河内本 源氏物語』(日本古典文学会) を讀み進みました。 

「源氏物語をよむ」 の講義までに二週間、それまでに〈夕顔〉まで讀めるかしら、なんて言ひましたが、無理せずにといふか、理屈つぽい〈帚木〉はぬかして、〈空蝉〉、〈夕顔〉といきたいと思ひます。 

靑表紙本より意味が通りやすいなんて聞いてゐましたが、さうでもありません。自分の目でたしかめないで言つてはいけませんね。むしろ、變體假名は、なれてしまつた靑表紙本よりむずかしい。ちよいとひねくれてゐる感じがいたします。それでもすでになんども讀んできた部分です。一應すらすら讀めるのがうれしいです。 

 

そこで、このところいささか心が硬直化してきたやうなので、血沸き肉躍る小説が讀みたくなりました。さういへば先日土浦で一〇〇圓均一のワゴンの中から見つけた、船戸与一の 『藪枯らし純次』 を讀みはじめてみました。 

帶には、「伝奇ハードボイルド巨編!」 とあり、「鄙びた山奥の温泉郷。疲弊した地方経済のひずみがもたらしたのは? 官能的な旋律が村に響くとき、血腥い事件が連続発生する。 歴史の闇に葬られた幕末・維新の因縁が、いま甦る!」 とありまして、『尾州家河内本 源氏物語 第一巻』 と同じ三センチの厚さがありますけれど、讀みはじめたらとまらなくなりました。