十一月十二日(月)戊申(舊十月五日) 曇天

 

小林茂美著 『かな─その成立と変遷─』 讀了。思つたより根氣と努力が必要でした。一度ギブアップしたのは當然だと思ひました。新書本ではありますが、内容は學術的で、概略だけを知りたい方には迷路に迷ひ込んでしまつた氣がするでせう。ぼくもさうでしたけれども、今回は、迷はずにゴールにたどり着くことができました。

 

冒頭から、「万葉がな」について多くの頁がさかれてゐたのには感心しました。なぜなら、ぼくのいままでの讀書經驗によりますが、「よみ」さへ正しければ、あてはまる漢字はあれこれアバウトでいいといふ傳統(?)が、この萬葉かなが定着するまでの努力がいまだ生きてゐるといふことを證ししてゐるやうに感じるからです。 

「文字としての 『かな』 には、『万葉がな』・『平がな』・『片かな』 の三種がある」と言はれます。が、そのうちのあとの二種は、膨大な時間と苦心と努力のすゑに日本語として定着した萬葉假名から芽吹いた花のやうなものだと思ひました。

 

圖版が多いし、諸記録からの引用も煩瑣に思ふくらゐになされてゐて、學ばうといふ氣持ちがないと挫けてしまひさう。それでも「かな」の魅力に支へられて讀み通すことができました。とくに、〈Ⅲ 定着─書としてのかな〉 の章が面白かつた。 

 

フェイスブックの 《葛飾地域猫の会》 を開いてみたら、昨日我が家の勝手口に遺棄された二匹について、妻と一緒に活動してゐるAさんが取材して投稿してくださつてゐました。妻にただしたら、夕食時間をはさんだ、六時半から七時半の間に捨てに來たとわかりました。もうあたりは眞つ暗です。おそらく近所の方であらうと推察してをります。 

 

今日の寫眞・・・フェイスブックにのつた遺棄されたネコと、我が家の勝手口!