七月三日(火)丙申(舊五月廿日) 晴、猛暑

 

今日も猛暑。無駄な消耗は防ぎたいと思ひつつ、讀書もけつこう疲れます。 

それでも修行は缺かせません。『源氏物語』は〈帚木〉の卷、やつと後半にさしかかりました。 

〈帚木〉の卷は、「玉蔓系(十六帖)」(大野晋先生と丸谷才一さんの言ふb系)で、「紫上系(十七帖)」が光源氏の成功談だとすると、失敗談を網羅してゐるさうであります。このb系に出てくる四人の女性が、空蝉と夕顔と末摘花と玉蔓。これらの女性との失敗談が、「紫上系」十七卷の隙間にはめ込まれてゐるといふ構成になつてをります。 

それで、〈帚木〉の卷の後半から、いよいよその第一の失敗談に入つて行こうとしてゐるところでありまして、はたして、源氏を袖にした空蝉といふ女性がどのやうなお方なのか、實に  樂しみであります。 

 

註・・『源氏物語』 第一部 「紫上系」(十七帖)と「玉蔓系」(十六帖) 

〈桐壺〉〈帚木〉〈空蝉〉〈夕顔〉〈若紫〉〈末摘花〉〈紅葉賀〉〈花宴〉〈葵〉〈賢木〉〈花散里〉〈須磨〉〈明石〉〈澪標〉〈蓬生〉〈関屋〉〈絵合〉〈松風〉〈薄雲〉〈朝顔〉〈少女〉〈玉蔓〉〈初音〉〈胡蝶〉〈蛍〉〈常夏〉〈篝火〉〈野分〉〈行幸〉〈藤袴〉〈真木柱〉〈梅枝〉〈藤裏葉〉 

 

今日の 『ぢざうわさん』 第四回目。昨日の寫眞の翻刻です。

 

〇あハれつたなきわれらかな (哀れ拙なき我等かな) 

しらずハさてもやみぬべし (知らずば偖も止みぬべし)

すでにこのりをわきまへて (已に此の理を辨へて) 

ごせをおそれぬはかなさよ (後世を恐ぬ果敢さよ)

 

うへにのぞみてこをくらふ (飢に臨みて子を喰ふ) 

がきのおもひぞあわれなる (餓鬼の想ひぞ哀なる) 

のうをくだきてちをすへど (腦を碎きて血を吸へど) 

こころにあくことさらになし (心に飽く事更になし)

 

おもひやるべしそのときの (想像べし其のときの) 

くげんのほどハいかばかり (苦患の程ハ如何かり) 

いはんやぢごくのありさまハ (況んや地獄の有様ハ) 

こころもことばもおよばれず (心も言葉も及ばれず)

 

〇むけんしやうねつ大けうくわん (無間焦熱大叫喚

なをきくだにもおそれあり (名を聞くだにも恐れあり) 

まさしくたましゐひとりゆく (正しく魂獨りゆく) 

ほのほにいらんかなしさよ (焔に入らん悲しさよ) 

 

今日の寫眞・・ 『ぢざうわさん』 四、五丁にわたる頁。それと、今日のぼくの文机。