六月廿七日(水)庚寅(舊五月十四日) 晴、蒸し暑い

 

今日はまづ、『枕草子』 と讀み散らかしたその關連本をかたづけました。幾種類ものテクストと參考書で一抱へ、籠の半分ほどありました。これがぼくの讀書の仕方ですが、未知の分野に入つて行くには、多角的にといふか、いくつあるかわからない麓から、試行錯誤しながら山頂をめざすといふ讀み方です。時間はかかりますし、途中で斷念したり適當に切り上げてしまふときのはうが多いのですが、『枕草子』 に限つては、山本淳子先生の 『枕草子のたくらみ』 に出會つたおかげで登頂に成功したと言つていいでせう。感謝といふしかありません。

 

さて、『源氏物語』 は、『枕草子』 の比ではありませんから、長年集めた參考書がすでに籠の一、二杯はあるかも知れません。それらはそのまま登山口の多さをあらはしてゐます。ですが、テクストは、「靑表紙本」のくづし字本文、註釋書は、小學館の日本古典文學全集 と 新潮社の新潮日本古典集成の二册、それに、北村季吟の 『湖月抄』 もそばにおいておきたいですね。この二册、いや、『湖月抄』 も含めてみなそれぞれ帖ごとにばらしてありますから、持ち運びは便利。これもまた、長丁場の讀書には大切なことです。參考書は參考するにとどめて、なにしろ本文を讀み進んでいかなければなりません。 

 

と言ひつつ、今日も外出。お晝を神保町の成光でラーメンをいただき、地下鐵新宿線で新宿に出ました。東京都交通場といふところで、「新宿西口古本まつり」が開催中だつたからです。ぼくはここははじめてでした。近頃は、角川文庫舊版の珍しいものがあればと見て回つてゐるのですが、今日は、石田波鄕の 『淸瀨村』、内田百閒の 『百閒随筆 Ⅲ 鬼苑漫筆』、それに、アランの 『思想と年齢』 を求めました。みな二、三百圓なのでお得でした。 

それから、小田急で町田に行きました。ところが、柿島屋を訪ねたら水曜日は定休日でした。あれ~、と思はず膝をついてしまひました。 

それでも一日で、八三五〇歩あるきました。 

 

今日の寫眞・・成光さんのラーメン(五三〇圓)と、角川文庫舊版三册。