四月十五日(日)丁丑(舊二月卅日) 曇り

 

毎朝毎晩、『枕草子』 とにらめつこしてゐますが、時たまとんでもない言ひまはしに遭遇します。 

例へば、第五七段の冒頭、「四季の御さうしのたてしとみのもとにて」といふ書き方です。くづし字の原文ではこのやうに書かれてゐるます。「四季」ですから、初見では、春夏秋冬の四季の、「曹司」(女官の用部屋・局)の樣子のことかなと思つて讀んでいくと、大間違ひでした。

 

活字本では、この部分、「職の御曹司の立蔀のもとにて」と書き換へられてゐます。これなら現代人にもよくわかります。「中宮職のなかの局の」といふ意味がくみ取れるからです。きつと、誤解がないやうに活字にした編者が書き換へたに違ひありません。

 

これがいいことなのか、誤つたことなのかはぼくが言ふことではありませんが、原文では「四季」とあるのですから、もしかしたら、四季を通じてとかの意味をもふくんだ言ひ回しだつたのかもしれません。 

内容を理解するためには漢字がいかに重要な役目を擔つてゐるかがよくわかります。それは、意味を限定してしまふ、といふか、してくれるからです。 

この場合、「しきのみさうし」と假名で書かれていれば、前後からどのやうな意味かを考へますが、漢字で記されてゐる場合には、意味をはじめに受けとつてしまひますから、まさか、「四季」が「職」の意味だなんて考へもしません。

 

さう、「はえこそ・・・あい行なくにくき物・・」も同樣の類でせうね。活字本では、「蠅こそ・・・愛敬なくにくき物」と變へられてゐますが、「あい行」から「愛敬」(可愛い)がすぐ連想できる人はさうたくさんはゐないでせう。 

ですから、最近では、漢字が出てきたら、一度、假名にもどし、あらためて意味を考へて、漢字を當てはめるやうにしてゐます。この類の用語は他にもしばしば見られるので、漢字には要注意です! 

 

今日はまた、妻が借りて來たDVDが面白かつた。『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』 といふ、助けたつもりの猫によつて救はれたストリートミュージシャンの靑年のはなしで、實話の映畫化のやうです。 

 

今日の寫眞・・畫面のなかのボブとわがココちやん。東京新聞による、昨日の國會議事堂前の集會の樣子。