二月四日(日)丁卯(舊十二月十九日・立春 晴

 

今日の讀書・・昨夜、小松左京著 『湖畔の女』 を讀了。はじめの二編は興味深いこともあつて面白かつたけれど、あとの三編は冗長すぎるといふか、冗漫な内容でちよつとがつかり。

 

そこで、今日は、「靑表紙本」で讀む 『源氏物語』 の〈賢木〉を讀みつづけました。先日、 『増註源氏物語湖月抄』 で追ひついたところからですが、一緒に讀んでゐては散漫になるので、まづ「靑表紙本」だけに集中して、おかげで十二頁讀み進むことができました。 

もうすぐにでも藤壺が出家するのかと思つてゐましたけれど、まだ先のやうで、その前に、源氏の君も少しは反省したのでせうか、雲林院に「參籠」して、心鎭める時を持つのでした。ところが、ふと、ひとり殘してきた紫の上のことが氣がかりになり、急いで手紙をやりとり。結局、煩惱を振り拂ふにはいたらないのでありました。 

さらに、近くにゐた齋院の朝顔さんともお手紙を交はしはじめ、もう、何のための「參籠」だつたのか、疑ひたくなります。 

今日讀んだあたりで、長い〈賢木〉の卷がやつと半ばに達しました。 

 

今日の寫眞・・昨日求めた、『古文讀本三の卷』 の冒頭。内容は、『今昔物語』 で面白く、「百濟の川成と飛彈の工」が技を競ひ合ふ話。つづいて、「蝉丸の琵琶」(源博雅朝臣、逢坂の盲の許に行きし語)を讀みました。博雅さんは、夢枕獏さんによれば、安倍晴明の友人であります。内容は、現在出てゐる文庫本等の活字本とまつたく同じです。 

とにかく、くづし字(變體假名)ではありますが、とてもわかりやすく、讀みやすいので、くづし字を讀んでゐる抵抗感がほとんどありません。明治廿三年の出版ですから、まだくづし字が現役だつた時代です。 

この本は三の卷ですから、一の卷も二の卷もあるはづです。探してみたところ、撰者のこの方は、鐵道唱歌の作詞者で、學校で源氏物語も敎へてゐたといふことがわかりました(註)。 

 

註・・大和田建樹(おおわだたけき、安政4429- 明治43101日) 日本の詩人・作詞家・国文学者・東京高等師範学校(現・筑波大学)教授。『鉄道唱歌』・『故郷の空』・『青葉の笛』などの作詞者として知られている。 

また、大和田は、雙葉高等女学校(現在の四谷雙葉)で教鞭をとり、源氏物語や和歌を教えていた。 

 

以下、ネットで調べてゐたら、復習になりさうだつたので寫しておきます。 

 

くずし字の覚え方 

*はじめに 

漢字は中国から輸入した文字、仮名は漢字を元に作られた日本固有の文字。 

そのため文字をくずすと変体仮名と漢字のくずし字、どっちで書いているのか前後関係を見ないとわからないことが結構ありますが、現行の平仮名と常用漢字を覚えた時のように、きちんと区別して学習しましょう。 

また変体仮名と漢字のくずし字、どちらが簡単とか難しいとかはないので、とちらを先に学習してもいいし同時並行で学習してもよいです。 

 

*くずし字の覚え方 10ヶ条 

変体仮名 

1. 変体仮名は、その字体の元となった漢字(字母)と一緒に覚えよ。 

2. 変体仮名を習得できたかは、現在使っている平仮名の元となった漢字がスラスラ言えるかどうかが目安となる。例:あ→安、か→加、に→仁、ふ→不など。 

 

漢字のくずし字 

3. 漢字のくずし字の元の字体は、現在使っている常用漢字ではなく「異体字(旧字)」。 

4. 頻出漢字は記号化する。逆にいうと記号化した文字は頻出漢字と心得よ。 

5. 使用頻度の少ない漢字は、余りくずされないので覚える必要も特にない。 

6. 引っかかるくずし字は人それぞれ決まっている。(マーフィーの法則に入れてほしい) 

 

解読実践 

7. メールと同じでいきなり本文を読まない。まずはじめに①所蔵元(住所)、文末にある②日付 ③差出人 ④宛名 の四点をもって文書の身元確認を行うべし。 

8. 候文は漢字(のくずし字)の文体で、基本的に変体仮名は入ってこない。 

9. どんな文書であろうが、解読したら必ず現代語訳を作成すること。 

10. その際、古文書には主語がないので主語は自分で考えて補うこと。