正月廿一日(日)癸丑(舊十二月五日 晴

 

今日の讀書・・〈鬼子母神通りみちくさ市〉といふ、古本市が開かれるといふので出かけてまゐりました。神保町の古書會館で、毎回「案内」を見てゐながら、當日が雨天中止だつたりして行きそびれてゐましたので、今回は氣を入れて行きました。 

せつかくだからと思ひ、源氏クラスメートに呼びかけたら、高山さんが行つてくださるといふので、學習院大學の目の前でもある目白驛で、十時に待ち合はせました。

 

講義以外でのご一緒の行動ははじめてでありまして、まあつれだつての散歩といつたところでせうか。驛前の目白通りを大學に沿つて進み、正門の前あたりを左折して直進すると、明治通りに出ますが、さらに路地を直進すると、そこが鬼子母神西參道商店街でありました。 

が、その角がすでに鬼子母神の門前で、と思つたら、裏門だつたのですが、境内ではすでにマーケットが開かれてゐました。ただ、古本市はやつてゐないやうで、「手創り市」の樣相です。けつこう良い出來の作品が竝んでゐました。布や皮の製品から、アクセサリー、陶器に木工作品、金工作品も見られました。さらに、クッキーやらの食品のいい匂いがただよつてきたりします。

 

いや、問題の古本市ですが、尋ねてみると、都電の鬼子母神前驛を越えて、目白通りにいたるまでの路上が會場なのださうでした。ところが、十一時開始といふことで、ぼくと高山さんは、ベンチに座つて三十分ばかりお喋りしながら待ちました。聞きたいことがあつたので、Nさんも來られたらよかつたのになあ、ともうひとりのクラスメートのうわさをしましたから、だいぶくしゃみが出たに違ひありません。 

しかし、その肝心の古本市たるや、素人のひと(お嬢さんが目立ちました!)が、自身で持ち運べるほどの量の本を抱へてくるだけですから、竝べられた本はわづかのもの! 言つてはわるいけれど、ぼくが出店したいくらゐでした。でも、昨年十二月下旬に出た文庫本、『室町幕府崩壊』 は、新本屋さんでも買ひたいと思つた本ですから、半値以下だつたので、一册くらゐはと思つて求めました。

 

そのとき、この市の案内をいただいたら、年に一度ではなく、三月と六月と九月と十一月の各第三日曜日にも開催してゐるではありませんか。氣張る必要はありませんでした。 ただ氣づいたのは、このみちくさ市と、鬼子母神境内のマーケットとは別の主催のやうです。 

ま、そんなことで、高山さんもものたりなかつたのではないかと思ひましたが、今一度鬼子母神境内を見て回り、それから池袋驛まで歩きました。

 

もうお晝時で、今日は、ぼくの先導で、東武百貨店十二階まで、人をかき分けかき分け、そのおかげでそれほど待つこともなく、天龍の餃子と生ビールをいただくことができました。二人連れですから、そのほかに、やわらかい焼きそばとエビのチリソースをたのみ、盛大に乾杯いたしました。NさんもKさんも殘念でした! 

 

それで、驛の改札口でお開きとしまして、ぼくは丸ノ内線に乘り、銀座か、赤坂見附あたりを歩こうかなと思つたのはいい、のですけれど、グラスビールが効いたのでせうか、はつと目を覺ましたら、新宿を過ぎてゐたのであります。ぢき、終點の荻窪驛です。といふことは、始發驛から終着驛までほとんど寢て過ごしてしまつたわけで、ひとり恥じ入つてしまひました。 

そのおかげで、ささま書店にも寄れて、近藤富枝さんの 『紫式部の恋 「源氏物語」誕生の謎を解く』(河出文庫) を發見することができました。二〇〇圓でした。 

 

今日の寫眞・・鬼子母神本堂。天然記念物のイチョウ。路上古本市。それから、求めた文庫本二册。