九月十日(日)庚子(舊七月廿日 晴

 

今日の讀書・・今日はお祭り日和。ふだん人氣のない氷川神社が大勢の人でごつた返しました。これらの人々は、いつたいどこから湧いてきたんだらうといつも不思議になります。 

ぼくも、子どもの時には胸をわくわくさせて樂しみました。學校から歸ると、我が家が町會の御酒所といふのか、接待場となつてゐて、近所のおばさんがたが出入りして、おにぎりをつくつたり、食事の用意をしたりで大賑はいでした。 

が、今や、父は亡く、母も現役を引退し、近所のおぢさんおばさん方も少なくなり、さらに新しく越してきた方が多くなつて、もうすでに町内の一體感といふか團結力にも翳りが生じてきたのでせう、めつきりさびしくなりました。

 

それで、神社に行つてみる氣にもなりませんので、いつものやうに讀書に耽溺! なんて大げさなものではありませんが、モモタとココとともに變はらぬ一日を過ごしました。ただ書齋からも、前の路地を通り過ぎる御輿や山車、それに救急車もながめることができました。 

 

今日も讀書のはじめに、『方丈記一節』 を朗讀し、氣持ちをととのへてから 〈葵〉 を讀み出しました。ところが、しばらくしてから、これを誘惑といふのでせうか、たまたまそばに置いてあつた 池波さんの 『殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安』 を手に取つたが運の盡き、一氣に讀み通してしまひました。再讀のはづですが、まるで初讀! 

これも、内容を紹介しておきます。

 

「この世に生きていては毒になる奴を消す。それが殺しの定法だ。ハリの名医が表看板だが、極悪人の殺しを請け負って、闇から闇へと葬る非情な裏稼業。吹矢の名手彦次郎を相棒に、仕掛人・藤枝梅安必殺の殺し針が急所に突きささる。梅安・彦次郎コンビの人間味を追求しつつ、闇の活躍を痛快に描いた短編連作。」 

「鬼平犯科帳」 「剣客商売」 と並び稱される、その傑作シリーズ第一彈です。 

 

今日の寫眞・・書齋の窓から。山車と救急車! それに、お祭り今昔物語。