九月五日(火)乙未(舊七月十五日 曇り

 

今日の讀書・・このまま毎日モモタとココに甘やかされてゐたらダメになると思ひまして、今日から圖書館に通ひはじめました。場所は立石です。近くにお花茶屋圖書館がありますが、閲覽席がたつた十二席。必ず誰か(といつてもぼくと同じ老人ばかり)が座つてゐて、居眠りするか新聞雜誌を讀んでゐるので、ゆつくり讀書などしてゐられる雰圍氣ではありません。そこで、立石圖書館を調べたら、一八〇席もあるんですね。この違ひ、何なんでせう。

 

といふわけで、我が家から歩いて向かひました。もちろん以前にも訪ねたことはありましたが、直接歩いて行つたことはなかつたんです。平和橋通りに出て、新小岩方向に歩き、四ツ木の京成電車の踏切を渡つて左折してすぐですが、五〇分かかりました。歩數は三五四〇歩。まあ、いい運動にはなるでせう。どなたかが、心臟には歩くのが一番、なんて言つてゐましたが、歩きすぎるのも、ぼくの弱つた心臟にはよくないでせうから、往復して1萬歩以内がちやうどいいのではないかと思ひます。

 

ところで、立石圖書館は久しぶりなんです。本を借りるつもりで訪ねたときは、なんだかがつかりして歸つてきたことがありましたが、閲覽といふか、勉強するのには最適な雰圍氣でした。最上階の四階のスペースのほとんどがテーブルと椅子席で、みなさん靜かにお勉強なさつてゐます。みなさん若い方が多いです。すてきな女性が目についてしかたありませんほどでした! でも、朝からどんな勉強をしてゐるのでせうか?

 

ぼくは、一一時半に入館し、途中、五目やきそばを食べに外に出ただけで、午後三時過まで讀みつづけました。いい勉強ができましたね。 

席について、最初に出したのは、先日求めた、『方丈記一節 (昭和假名帖名家選 卷一)』 といふ 「折本」(註) と言つたらいいのでせうか、のばせば橫にいくらでも廣がる本です。お習字のお手本だと思ひます。さう、お坊さんが讀むお經のやうな本ですね。それを開いて讀むことにしました。 

分量は、岩波文庫本で言へば、たつたの二頁。その大きな變體假名を、復習をかねてゆつくりと讀んでみました。はじめてのくづし字に何度も遭遇。しかし、内容もいいですし、なんだか日常からはなれた氣分になりまして、初つ端からいい氣分になりました。でも、肝心の 『源氏物語』 の〈葵〉、手強いです。なかなか進みませんでした。

 

三時一五分に圖書館をあとにして、さうだと思ひ、近くの岡島書店に寄りましたら、池波正太郎さんの 『若き獅子』(講談社文庫) が目についたので、買つてしまひました。短編のほとんどが幕末もので、高杉晋作、河井継之助、松平容保、新選組、小栗上野介忠順がそれぞれの主人公です。先日の 『剣客群像』 につづいて勉強になりさうです。 

 

註・・折本(おりほん) 帖装本ともいい、横に長くつなぎ合わせた紙を一定の幅で折り畳み、前後に表紙をつけたもの。経典や習字手本などに多く用いられる。 

 

今日の寫眞・・立石圖書館の外觀と閲覧室の隠し撮り! それと、『方丈記一節』。おまけは、宝塔さんの五目焼きそば。ちよいとピンボケ?