八月廿八日(月)丁亥(舊七月七日 晴たり曇つたり

 

今日の讀書・・ジョン・ダニング著 『死の藏書』 (ハヤカワ・ミステリ文庫) を讀み終りました。昔讀んだ探偵小説の雰圍氣を懐かしく思ひ出しました。でも、古書店の内實なんて知るよしもありませんが、どうも日本とはシステムが違ふやうに思はれてなりませんでした。 

そもそも、日本では、「古本の堀出し屋」なんていふ商賣を聞いたことがありません。本書によれば、「堀出し屋」とは、バザーのやうなところや、本の價値を知らない古本屋から安く買ひ入れ、それを他の古本屋に高く賣つて、その利ざやを得る商賣のことのやうです。 

日本では、古本屋自身が、本を處分したい人の本を買ひ受けて、或いは持ち込まれた本を、そのまま販賣する場合もあるでせうし、それらを一度市場に出して(たびたび訪ねる神田・西部・南部の各古書會館がその市場でありますが)、自分のところで賣れさうな本をそこで仕入れなほすといふのが大筋ではないかと思ひます。 

ぼくはといへば、古本屋のはしごをして、そこでより安い本を見つけることと、必要でなくなつた本を古本屋さんに持ち込む程度のことしかしてをりませんけれど。 

 

それで、やつと、「靑表紙本」で讀む『源氏物語』、その〈葵〉の卷の途中から讀みだすことができました。 

 

今日の寫眞・・ジョン・ダニング著 『死の藏書』 (ハヤカワ・ミステリ文庫) と、二册一〇〇圓の池波正太郎。