六月廿六日(月)甲申(舊閏五月三日 曇りのち晴

 

今日の讀書・・柴田錬三郎著 『劍鬼』 (新潮文庫) 讀了。 

 

今日の寫眞・・今日の新聞切り抜き。これを讀んでゐたら、山暮ししてゐたころに蒔いたレンゲの種のことを思ひ出しました。レンゲは、花が咲いたあと、そのまま鋤き込むと天然の肥料になりますから、田圃作りをしはじめた頃に、下田の種苗店で種を求めました。秋の収穫前、田から水を抜くころに種を蒔いておくと、次の春に花が咲くのでありまして、たいへん樂しみに待つてをりました。そして、たしかにその春には、寫眞のやうにみごとに咲いて、ぼくも愛犬ラムもたいへん喜んだものでした。

 

ところが、種ができてゐたにもかかはらず、次の年の春にはまつたく芽もでないし花もさきませんでした。それで、種苗店に行きましたところ、販賣中の種はほとんどが「F1」(註)といふ品種で、一代しか育たないものだといふのです。ぼくは、種が蒔かれ、なつた種が地に落ちて、さらに次の年にもなるものだとばかり思つてゐたものですから、なんだかだまされたやうで、腹立たしかつたことを思ひ出しました。

 

つまり、毎年種を買ひつづけないと花は咲かないし、作物はとれないのであります。これはたいへんなことだと思つたしだいでした。そうしたら、近所のおばさんが、わたしんとこぢや、ナスもキュウリもトマトも、もちろんお米も、すべての種を育てては保存してるだよ、と言ふのを聞いて、いやなおばさんでしたが感心したものでした。

 

種を買へば育てることができますが、いや、種を賣らないとされたら、ぼくたち日本人の食べものは危機に瀕します。その恐れを、この記事は傳へようとしてゐることを、消費者は、他人ごとと思はず、生産者とともに、日本の國を喰ひ滅ぼそうとしてゐる害蟲、自民・公明・維新の無能どもを驅逐しなければなりません! 

 

*註・・F1品種 、「F1」というのは、生物学用語で、first filial generation、交雑によって生まれた第一代目の子を意味し、日本語では「一代雑種」と言われる。 

一世代に限り、収量が安定して形がそろった作物ができる品種。現在、流通している野菜のタネの多くを占めている。優れた作物ができるように、異なる性質の親株を人工的にかけ合わせて種を作る。国内では1948年、タキイ種苗(京都市)F1のトマトを発売。以後、キャベツ、白菜などに種類が増え、50年代から全国に広がった。国内でまかれている野菜の種の89割は海外で採られており、F1品種の多くも種苗会社が海外で生産したものだ。サカタのタネ(横浜市)のブロッコリーのF1の種は世界で6割を占める。