六月六日(月)己未(舊五月二日 曇天

 

今日の讀書・・今日は、三日に古書會館で求めた影印本の『篁物語』(笠間書院)を讀みました。思ふやうに讀み進めたので、思ひ切つて讀み終はらしてしまひました。夢枕獏さんの『鬼譚草紙』(朝日文庫)を讀んでゐましたから、だいたいの筋はわかつてゐるので、それで一氣に讀めたのでせう。それでも、くづし字本を一日で讀めたのは、ぼくにとつては記念の日となりました。 

内容は、夢枕獏さん言はせるまでもなく、エツチでいやらしいものでした。はい。

 

それと、同じ日に求めた、和本の『詞のやちまた(上)』を、取れかかつていた糸を除いて、新たな糸で綴じてみました。いやあ、見違へるやうになりました。三百圓で求めた本ですが、これは、本居宣長の長男、本居春庭が書いた本で、「『詞通路(ことばのかよひぢ)』とともに用言研究の金字塔というべきもの」でありました。その上卷だけですが、下卷に巡り逢ふまで、まあ、それほど讀めるとは思ひませんので、いいとしておきたいと思ひます。

 

また、同じく三百圓で求めた、『四季草花名集』ですが(今日の寫眞參照)、享和元年(一八〇一年)三月に、「生人 片岡暁馬」でせうか、によつて書かれたメモです。四十頁にわたつて、「正月より三月迄花さく類イ」、「三月より六月迄咲類」、「六月より九十月迄」、或いは「近年出來候草花」なんていふのも記され、まるでプロの内容です。 

ぼくが知つてゐる、「福寿草」とか「しゆんらん」とか「金錢花(ママ)」などもありますが、初耳ならぬ初目の草花ばかりです。それにしても、單純に數へて約六百種。専門化に見てもらひたいくらゐです。 

 

今日の《平和の俳句》・・「花の下この世は捨てたものじゃない」(六十七歳女) 

 

今日の寫眞・・修理ができた和本の『詞のやちまた(上)』と、『四季草花名集』(背後にあるのは『篁物語』)と、新聞の切り抜き。