四月廿三日(土)乙亥(舊三月十七日 曇天

 

今日もお勉強のために古本市を二か所はしごをしてまゐりました。神田の東京古書會館と高圓寺の西部古書會館です。が、なんてことはありませんで、足腰の體操のために出歩いたやうなものでした。それでも行つて歸つてたつた五五〇〇歩でした。 

収穫はほとんどありませんでした。ただ、古典文庫が一〇〇圓で、しかも興味深いものがあつたので買ひ求めました。念のために申し上げておきますが、古典文庫が一〇〇圓なんていふのは驚きの安値なんです。今まで見た最安値が三〇〇圓でしたかね。平均して六〇〇圓か八〇〇圓、中には二千圓とかですね、これは知る人ぞ知る、「會員」にだけ頒布した「非売品」ですから、古本屋で探すしかない、貴重な本なんです。だから、今日は、それでも精選して買ひ求めたのでした。

 

中野先生は、「和本リテラシー」を高めろと言ふのでありますけれど、この古典文庫には江戸時代の、いやそれ以前のものも含めて、たくさんの書物が翻刻されてゐるんです。これらは、むろん先生がおつしやられた、「『書總目録』で公稱五〇萬點」、と言はれる中に、たぶん入つてゐる書物ですが、これらだつて、はじめて目にするものばかりです。 

それでも、古典文庫は、複製とか影印とかいはれるくづし字本が多く、ぼくはお勉強のために集めてゐたんですが、考へたら、翻刻されたものだつて、貴重な江戸の本なんです。だから、最近は、翻刻されてゐるものも求めるやうにしてゐます。今日求めたのは、『元禄歌舞伎集』(正續)、『舞の本』(上下)、『玉くしげ』、『伊達政宗公集』、『やうきひ物語』などの翻刻本ですが、最後のは、複製とその翻刻の兩方が収められてゐるので、ちらちら見ながら讀み通すことができてありがたいです。

考へたら、翻刻版だつて、「和本リテラシー」を高めるのに役立つことはもちろんです。むしろ、翻刻版で慣れてゐないと、いきなりくづし字では理解がおよばないだらうとさへ思ひます。

 

今日の寫眞・・古典文庫の目録と、妻になついてゐるノラの華(はな)ちやん。ところが、寅は寢床から姿を見せず、まだ待つべきなのか、もう放してあげたはうがいいのか惱んでゐます。

 


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