三月卅一日(木)壬子(舊二月廿三日 晴

 

史策會のメンバーと歩いてきました。野川です。この川の存在は何となくうらやましい氣持ちをともなつて前から知つてはゐましたが、歩いて見て、たしかにうらやましい氣持ちが裏付けられた素晴らしい川でした。また沿道もいいですね、河川敷といつたらいいのか、單なる川原といつていいのか、川の流に沿つて歩いて下れるのがなんとも魅力的。岸邊にお住まひの方々なんか、犬との散歩もできますし、川遊びに興じる子どもたちの聲がひびき、なかには魚を釣つたり、エビガニを捕つてゐる子どもも見られました。 

櫻が滿開となれば、川原にシートを敷いて食べたり飲んだりする方々があちこちに見られ、實にいい日に散策できたことを感謝したいと思ひます。 

參加者は、いつもの七名。西國分寺驛に集合、一〇時二〇分に出發。南口から史跡通りを南下し、舊鎌倉街道の面影をのこす切通しの道を歩き、まづ、JR武蔵野線わきにある武藏國分尼寺跡を見學。つづいて、第四中學校體育館一階隅に設けられた「文化財資料展示室」が興味深く、豫定外の時間をだいぶついやしてしまひました。 

さらに、天平十三年(七四一年)に出された聖武天皇の命によつて建立された武藏國分寺跡と、「崖線下地域」に位置する現在の國分寺と、その境内にある萬葉植物園を訪ねました。そこからは、「崖線下」、つまり崖下から湧き出た湧水が流れ出て水路をなし、それがのどかでまたとてもいい雰圍氣なんです。「眞姿の池湧水群」といひ、これが野川の源流の一つ。 

そこからは、崖の上にのぼり、都立武藏國分寺公園のわきをJR中央線のぶつかるまで歩き、線路に沿つて國分寺驛に向かひました。途中、上り下りの道があり、その一番の低地に、線路の下をくぐつてきた水路が流れ出てゐました。線路の北隣りには、日立中央研究所庭園の池があつて、そこから流れ出た水が、野川の本流となる水源です。確認した場所には、「一級河川 のがわ」といふ標識が立ち、ここから野川がはじまるといふことを示してゐました。 

國分寺驛前についたら、一二時半になつてゐました。そこで、見學だけのはづの「都立殿ヶ谷戸庭園」で、各自持參の晝食をいただきました。この庭園からも水が湧いてゐましたので、これも野川の源流の一つとしていいのだらうと思ひます。

 

さて、ここまで歩いてきて、まだ野川の本流に接したといふか、交叉しただけです。流に沿つて歩くには、もう少し自動車道路を進まなければなりませんでした。驛前通りを東に、道なりにやつてくると、急に道幅が狭くなり、そこに長谷戸橋がかかつてゐて、その下に、コンクリートで固められた水路が現れ、それが野川でした。イメージした姿にはほど遠いどぶ川のやうな姿でした。 

しかし、まだ流に沿ふことはできません。下見をしてくださつた甲斐さんによれば、貫井南四丁目の交差點を左に曲がつたところの橋から、野川散策が可能な姿に變じるといふのです。たしかに、期待してたどり着いて、その通りの姿に、別世界にやつてきた感じさへいたしました。(つづく) 

 

今日の寫眞・・野川散策より (武藏國分尼寺、文化財資料展示室、史跡武蔵國分寺跡、眞姿の池湧水群、都立殿ヶ谷戸庭園、そして、櫻滿開の野川の散歩道)




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