三月廿四日(木)乙巳(舊二月十六日 晴、寒い

 

今日はどうしてしまつたのでせう。目覺めれば朝食、目覺めれば晝食、目覺めれば夕食と、結局一日中寢て過ごしてしまひました。まあ、こんな日もあつてもいいかなとは思ひますが、ちよつと情けないです。 

でも、ひとつの理由は、昨夜おそくまで田山花袋の『東京の三十年』を讀んでゐたからです。地名や町名が頻繁に出てくる前半は、ほとんど地圖とにらめつこして讀んだので、時間がかかりましたが、それだけ、牛込界隈の地理のイメージが豐かに理解できました。神樂坂はじめ、淨瑠璃坂とか麹坂とか、燒餅坂とか、地圖を見るとたくさん多くの坂がある地域なんです。まだ踏み込んだことのない場所ですので、この本の語るところだけでも訪ねてみたいと思ひました。 

また、同時代の作家との交流も面白くありましたけれど、今回はさらりと讀み流しました。ただ、國木田獨歩との出會ひや、そのかれの澁谷の奥、駒場付近の「丘の上の家」の描寫には憧れてしまひました。明治の終りころまでは、靑山も澁谷もまつたく武藏野の田園の一角だつたことがわかりました。 

 

今日の讀書・・田山花袋著『東京の三十年』(岩波文庫)を讀了といふことにして、つづいて、長谷川時雨著『旧聞日本橋』(岩波文庫)を讀みはじめました。ところが、はじめの「町の構成」だけは、「日本橋通りの本町の角からと、石町から曲がるのと、二本の大通りが浅草橋へむかって通っている」、その界隈の克明な説明といふか描寫で、それはそれで興味深くありましたけれど、あとは時雨個人の回想録なのでありました。で、途中でお休みして、同じ田山花袋の『東京近郊 一日の行楽』(現代教養文庫)に心を移して讀みはじめました。これも地圖と照らし合はせながら讀めるので勉強になりさうです。 

 

今日の寫眞・・今日の切り抜き。

 

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