三月十二日(土)癸巳(舊二月四日 曇天

 

今日は、机の回りに積み上げられた本を片づけました。いちど片づけても、關心が移るとそれに從つてまた異なつた關係の本が積まれていくので、まるで地層のやうに、關心の移り變はりが分かる仕掛けでもありますが、そんな悠長なことは言つてゐられません。まづは片づけて、次なる關心のテーマに臨まなければならないのであります。 

ところで、先日求めた本の表紙を開いたところに、面白い印を見つけました。廢棄したといふしるしのスタンプです。大學圖書館が「廢棄」處分にしたんでせうが、とてもきれいで新品同樣です。いかに學生が手に取らなかつたかがわかります。定價では八九〇〇圓もする学術書ですが、ぼくは、たつた一〇〇圓で入手することができました。『延慶本平家物語考証』 といふ實に興味深く、ぼくの關心度も高い本です。 

それと同じく廢棄されたと思はれる一〇〇圓本を手に入れました。『都史紀要二十八 元禄の町』(東京都) です。これはペーパーバックですが、内容はほとんど古文書とその解説です。「Ⅰ高野新右衛門家文書について Ⅱ高野家と町 Ⅲ元禄の町 Ⅳ史料」 といふ内容です。どうして廢棄されたのか分かりませんが、かういふのを掘り出す醍醐味は格別なものがありますです。はい。 

しかも、よほど賣れなかつたんでせうね。二〇〇圓だつたものが、それでも賣れなくて一〇〇圓にされたやうです。

 

今日の讀書・・佐伯泰英著「酔いどれ小籐次留書」シリーズ第二十册、『青雲篇 品川騒ぎ』(冬幻舎時代小説文庫)讀了。これで、既刊分はすべて讀了。ところが、ネットで見たら、文春文庫で「新・酔いどれ小籐次留書」シリーズがはじまつてゐるやうなんです。

 

今日の寫眞・・再・三月十一日を忘れないための切り抜き。一〇〇圓本の廢棄印。

 


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