三月五日(土)丙戌(舊正月廿七日・啓蟄 曇りのち曇天

 

やはり疲れたんでせうか、今日は夕方まで寢床で居眠りと讀書三昧。「酔いどれ小籐次」を讀みながら、江戸の町を歩くのも面白いかな、と、やうやくその氣になつてきました。 

いつか、江戸の町には興味がないやうなことを書いたことがありましたが、それは、江戸の由緒ある町名が改惡されたことを思つての腹立ちまぎれもありました。たしかに今現在もその氣持ちに變はりありませんが、昨日求めた、昭和三十七年(一九六二年)發行の、改惡前のすばらしい町名滿載の『東京都区分地図帖』見てゐたら、なんだか懐かしくて、そのなつかしさに惹かれてといふか、導かれて、由緒ある町竝みや路地、坂道やお寺、有名人のお墓などを訪ね歩いてみてもいいかなといふ氣持ちになつてきたのであります。 

「江戸切繪圖」と「東京都区分地図帖」と現在の地圖を重ね合はせ、まるでステレオ寫眞のやうに見ながら、實際の道筋をたどれたらさぞ面白いし、「紀行」も書けるかも知れません。でも、そのためには、ただぶらぶら歩いたのでは緊張感が薄れます。先日國會議事堂まで歩いたやうに、ある目的地を定めて、そしてそれには必然性がなくてはなりません。さあ、どういふ町歩きになるか、成田街道紀行、水戸街道紀行も視野に入れながら、準備していきたいと思ひます。 

江戸の地圖はなんと言つても、『嘉永・慶應 江戸切絵図 尾張屋淸七版』(人文社)が見やすくて便利。これは一册本ですが、その他、亡父が殘してくれた 『江戸切絵図』 があります。讀賣新聞から出されたもので、一枚が六十センチ×四十センチ大の切繪圖が十八枚。大きくて見やすい繪圖面です。これも利用したいですね。 

その他、『切絵図・現代地図で歩く 江戸東京散歩』(人文社)とか、『江戸散歩・東京散歩 切絵図・古地図で楽しむ、最新東京地図で歩く一〇〇の町と道』(成美堂出版)などもありますが、まあ參考するにはいい本です。 

でも問題は持ち歩きです。その點べんりなのが、『大きな字の地図で東京を歩こう』(人文社)と『東京山手・下町散歩』(昭文社)です。前者だけでもいいんですが、範圍が狹くて、例へば北千住が含まれてゐないのは殘念と言ふしかありません。いづれにしても、兩者ともに持ち歩きできるサイズで、名所舊跡はもちろん、石佛や記念碑に坂道名、さらには「鬼平犯科帳の舞台」まで記入された面白本です。美味しいお店も載つてゐます。 

 

今日の讀書・・佐伯泰英著「酔いどれ小籐次留書」シリーズ第十四册、『冬日淡々』(冬幻舎時代小説文庫)讀了。 

 

今日の寫眞・・江戸・東京を歩くための地圖。成田街道と水戸街道の地圖。それと、今日のステレオ立體寫眞。身近なところで濟ませました。

 




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