二月五日(金)丁巳(舊十二月廿七日 晴

 

今日は、上野公園にある、東京都美術館に行つてまゐりました。 

昨日、中仙道を一緒に歩いた楓さんからお電話があり、作品が展示されてゐるといふことをお聞きしたからです。十一月頃から取りかかつた作品だといふのですから、よほどの大作なんでせう。それですぐに訪ねました。といふのも、楓さんが屬する〈書海社〉の展示は三日から七日までしか開かれてゐないといふのです。 

楓さんは、實は、中仙道を完歩したときのために、横斷幕を書いてきてくださつたのでした。ビツクリすらやらうれしいやらで、その晩の完歩祝賀會のときには、上座の壁に張り出して、座を盛り上げるのに一役かつてもらつたのです。その、楓さんの作品ですから、見に行かないわけにはいかないでせう。 

入場するのに、ぼくは料金が必要だと思ひ、例の「手帳」をすぐ出せるやうにしてゐたんですが、なんのなんの無料でして、しかも、寫眞撮影も自由。たしかに、多くの人の目に觸れることがひとつの目的でもあるんでせうから、これで有料にしたら元も子もなくなつてしまひますものね。 

その楓さんの作品ですが、受付の女性に楓さんのお名前を告げて、どこにあるかお聞きしました。「素楓」といふ藝名、いや署名(筆名でせうか)ださうで、親切に敎へてくれました。 

でも、名前は小さいですから、目をこらして、あれこれと探し探し歩き回りました。ちよいと時間はかかりましたけれど、作品の前に立つて、ぼくは、すぐ氣に入つてしまひましたね。素晴らしい作品でした。他の方々の作品をはるかに凌駕してゐるとぼくは感じました。 

一字一字が、獨特の品があつて引きつけられます。それは、他の方の作品の文字と比べたら一目瞭然です。いや、他と比べてなんて言つたら失禮なんで、正眞正銘素晴らしい。「樂」とか、「氣」とか、「酒」とか、とくに「及」といふ字がぼくはいいなと思ひましたね。しびれるやうな筆さばきです。それも、二十字×十二行ですから、約二四〇字です。三分割されてゐるとしても、最後まで集中力を保つのは至難の業とお見受けしました。 

それで歸宅後ぼくはすぐに、例の「柔らかい飲み會」の方々に連絡して、見に行くやうにと書きました。が、殘すはあと二日、きつと無理だらうなと思ひ、撮つてきた寫眞を添付して送りました。 

餘談ですが、それにしても驚いたのは、たくさんの團體といふか書道の會があるんですね。だいたい見て回つたんですけれど、小・中・高等學校の生徒の作品もあつて、そのなかでは、女子高生の作品が、いかつたです。おぢさんとしたら、欲望を感じてしまふほどでしたね! 

 

今日の寫眞・・東京都美術館で開催中の、〈書海社〉の展示より。昨日のぼくの字と決して比べないでくださいね!