正月廿八日(木)己酉(舊十二月十九日 晴

 

『〈中仙道を歩く〉感想文集』、八十三冊目を印刷したところでインク切れ、でも、八十六名のうち、ご夫婦の方が數組をられましたから、實際にはちやうどお渡しできる冊數だと思ふので、ちよいとお休みしました。 

そして、その後、トラベル日本の永濱さんから連絡が届いてゐるかなと思つて、メールを開いたところ、ビツクリしてしまひました。 

 

中村様 ご連絡が遅くなり、大変申し訳ございません。文集をお送りする件ですが、弊社で持っている個人情報を利用して、これ以上の物を中山道の参加者にお送りする事ができないと言われました。理由としては、「弊社の募集ツアーに対しての連絡、告知事項以外の目的で中山道の参加者名簿を利用した物をお送りする事はできない。」事があります。 

何卒、ご理解を賜り、ご了承いただけますようお願い申し上げます。永濱 

 

以上はいただいた全文です。ぼくは一讀して怒り心頭に發し、返事を書き、また、メールで連絡できる「中仙道」同行者に事の顛末を知らせたんですが、あとから、いや、まづかつたかなと反省しました。江戸つ子ですから、勘辨してもらふにしても、怒りといふか、これからどうしたらよいか、もやもやして、何にも手が付かなくなつてしまひました。 

怒り心頭にきたその言ひ譯のやうですが、廿二日に次の提案をしてゐるからです。

 

「永濱様 『〈中仙道を歩く〉感想文集』に關して、たいへんご迷惑をおかけしてゐます。つきましては、提案なんですが、『文集』を九十部、小生のはうでプリント製本し、封筒に入れて、郵便切手(一部二〇五圓。購入濟み)を貼り、それからお届けします。封ははしませんから、そこに貴社のプランなど同封してくださつてもかまひません。それで、住所ラベルを貼つて投函してくださればよいかと存じますが、いかがでせうか。」

 

このやうに、最大限迷惑をかけないやうに、こちらで自腹を切つての提案なんですから、かうあつさりと「ダメ!」だなんて言はれてしまふと、あれ、またむかむかしてきたのでこのへんで筆を置く、ではない、指先を引つ込めます。 

ところで、そのつづきです。夕食後、永濱さんから電話がありました。いろいろと話されましたが、分かつたことがあります。それを含んで、晝間お送りした「中仙道」同行者の方々に、以下のやうな文面のメールを再度お送りしました。それで、もう氣が晴れました。無駄になつても仕方ありません。これが、ぼくの「中仙道を歩く」の結論なんだと腑に落としました。 

 

こんばんは。御迷惑をおかけします。 

先ほどは、くわつとして、騒ぎ立ててしまひ、申しわけありません。江戸っ子なもので、お許しください。また、「BBC」でなく、「宛先」に送つてしまひ、御迷惑ではなかつたですか。改めてお詫びします。 

それで、ですね、結果として、住所がわかつた方だけにしかお送りできません。送つてもよい方だけ、一應ご連絡ください。折り返し、小生のはうから直接お送りするやうにします。以上です。 

永濱さんがおつしやるには、そもそもみなさんに小生の「お願ひ」を送つたところからして、「法」に觸れるのださうです。もし、どなたかが、トラベルさんへ、そのことでクレームを言ひ出した場合、トラベルさんが100パーセント敗訴(?)になるんださうです。その意味がぼくにはよく分かりませんが、だから、あれは間違ひで、本來送つてはいけなかつたんださうです。ましてや、『〈中仙道を歩く〉感想文集』などは、たうてい送ることはできないし、「弊社の募集ツアーに対しての連絡、告知事項以外の目的で中山道の参加者名簿を利用した物をお送りする事はできない。」といふわけなのであります。 

永濱さんは何も問題があるやうなことを言ひませんでしたし、ぼくは、最初から、文集のはうも送るために協力してくれることを當たり前に思つてゐましたから、ほんとうに驚いてしまつたのです。 

ぼくが世間知らずで、甘かつたんでせうか、と思ひましたが、それでも納得いきません。はたして、一緒に中仙道を歩いた方が、クレームを言ひ出すものでせうか。それが、甘いのかも? まあ、そのことで、先ほど、永濱さんから直に電話がありましたのです。 

といふことで、すでに分かる方もをられますが、今一度住所を知らせてくださればたいへんありがたく存じます。できれば無駄にしたくないなと思ひます。また、パソコンを持たない方に聲をかけてくだされば、まことに感謝です。樂しいことのあとには苦あり、とでも言ひたいです。では、もう、お騒がせしないやうにしますので、お許しください。 

かしこ                          ひげ 二〇一六・一・二十八 

 

今日の讀書・・明暦二年『説經さんせう太夫』。寢るときと朝目覺めたときに數行づつでも繼讀中。なにせ二千圓もしたんですから、もとは取らなければなりません。 

小松英雄著『みそひと文字の抒情詩~古今和歌集の和歌表現を解きほぐす』も、イントロダクションが面白かつたので、少しづつ讀みはじめました。 

それに、志水辰夫著『みのたけの春』(集英社文庫)。何も手が付かなくても、物語の世界に入つていけるので、かういふ時にはありがたい。午からは寢轉んで讀んでゐました。 

 

今日の寫眞・・今朝インク切れで一時中止しましたけれど、すぐに買ひ求めて仕上げた、九十冊の『〈中仙道を歩く〉感想文集』。正直のところ、やつと仕上げたといふ状態で、これ以上宛名書きの氣力がありません。何人かの方の住所は分かつてゐますが、かういふのはいちどきにまとめてやらないと、誰に送り、誰がまだなのか、必ず不備が出てくるんです。熱をさまし、知惠をつくしてから、どのやうにしたら送れるか考へたいと思ひます。 

それにしても、すぐさまみなさんに怒りの矛先、でもありませんが、熱くなつた氣持ちをぶちまけるやうにしてメールを送つてしまつたのは、呉々も悔やみます。