十二月五日(土)乙卯(舊十月廿四日 晴

 

ドイツ南部の片田舎から花のベルリンに引越した愛(よつ)ちやんから、やつとメールが屆きました。十月十五日以來ですから、あと十日で二ヶ月もたつといふ長いあひだ音沙汰がありませんでしたので、少しは心配してゐたんですが、それがなんと、「電話料金がお得で、サービスの良い会社と契約したので、長く待たされました」、といふことでした。まあ、なんとのんびりなんでせう。

でも、生活はのんびりばかりではない樣子ですよ。ベルリンからの衝撃の第一報を轉載しておきませう。

 

ベルリンに来て、孫(ソフィーの娘)が定期的に遊びに来るようになりました。祖父母の感覚がリアルになってきました。ベルリン生活は面白いですが、一つだけ今迄したことの無かった経験をしました。先週、犬との散歩に住いを出ようとしたら、機関銃を持った警官に家に戻るように警告されました。テロの爆弾警報なんです。住いに戻ったら、今度は、その警官が尋ねて来て、この通りの建物に住む住人全てに避難命令がでていることを知らせに来ました。ISのテロリストが隠れていることを察知したらしいのです。パリの出来事があったばかりなので、皆マジになりました。

通りは、機動隊に取り巻かれて、通行止めになり、疑わしい住居は一つ一つ捜査されて、聞いた所によると、二人容疑者が逮捕されたといいます。この避難は午後3時半から7時半迄4時間続きましたが、最後は寒くなって、警察が用意してくれた暖房つきのバスに乗り込んで、避難命令が解除されるまで待っていました。フォークトの田舎に居た頃は、考えられないことでしたが、流石、ベルリンです。

変な言い方ですが、一番心配したのは、時限爆弾か何かで、教会付属のマンションの建物が破壊されて、住む所がなくなったら困るな。せっかく引っ越して来たのに、と言うことでした。テロの容疑が、こんなに身近に感じれるのは、嬉しい事なのか悲しい事なのか分りませんが、他人事のように感じられたニュースが現実的に感じられるようになりました。こういう経験は珍しいです。何事も無くて本当に良かったです。

ベルリンの生活は、それ以外は、日常的に穏やかで、過ごし易いです。

 

いただいてきた藥をのみましたが、體調はあまり芳しくなくて寢てすごしました。それを見て、妻は、「なんだ、いつものやうに戻つたみたいね」と言ふのです。やさしい言葉を期待してゐたぼくが甘かつたです。

 

今日の寫眞・・新聞の切り抜きは、東京新聞連載の 『王朝の歌人たち 雅の世界』 です。今日は、素性法師についてでしたが、興味津々でした。以前からつづけて讀んでおけばよかつたです。

それと、先日來お世話になつてゐる、『昭和ミステリー大全集 ハードボイルド編』(新潮文庫)と、今日屆いた、例の 小田秀夫著『山下りん―信仰と聖像画に捧げた生涯』(ふるさと文庫)

 


コメント: 0