三月五日(木)庚辰(舊正月十五日 晴

昨晩遅くまでかかつて、『十帖源氏』の「桐壺」を讀み上げました。内容もだいたいわかりました。これからは、原文と照らし合はせないでも讀めさうです。五十四帖の初段ですが、けつこう中身が濃いです。

光源氏、十二歳なのに婿入りし、しかも、父の帝の愛人の藤壷に懸想してしまふといふのですからませたガキですね! 光源氏が小學五年生とすると、婿入りした相手の葵の上は十六歳の中學三年生。思ひを寄せる藤壷は十七歳の高校一年生ですよ、これは。いやはや、どうなることでせうか! はたして文學なのか、それともポルノなのか?

まあ、世繼ぎをたやさないことが、天皇のご公務ですから、毎日お勵みになるのは仕方ないでせうが、宮廷がその一點を中心、といふか軸にして回轉してゐたかと思ふと、情けないやら、お氣の毒さまといふ氣にもなります。あれッ、それは今日でも變はりないですね!

 

午前中、眠い目をこすりながら、それでも書齋の本をかたづけて書庫に運びました。そうでもしないことには、机の回りが本で埋まり、身動きができなくなつてしまふからです。それと、せつかくの本がどこにあるかわからずに、探し回らなくてはならなくなつてきたからでもあります。

まづは運んで、それから多少整理をしました。分野ごとにまとめて置かなければ、ここでも行方不明になつてしまふからです。それで、疲れて、晝からは寢轉んで『千年の黙』を讀みはじめました。

 

ところで、一昨日、書道教室への參加申し込みが受理されたと言ひましたが、なんか手續きするやうにと記してあつたので、連絡しました。すると、書道教室の當日に持參するものを列擧されたのです。何々・・? 筆二本(大と小)、硯、墨汁、半紙、そして、下敷きと新聞紙です。

さあ、困りました。ぼくは萬年筆型の小さな筆ペンが使へればいいと思つて、書道を習ひたいんですが、これは、本格的ですね。どうしませう?

ぼくは、どうせなら長く使へて飽きのこないいい物をと思つて、道具には氣を使ふはうなんですよね。ここで文房具を新たになんて言つたら、書物の購入をよほど控へなければならなくなりさうです。困りました。

 

今日の寫眞・・ネット注文で屆いた、淸水勲編『岡本一平漫画漫文集』(岩波文庫)。先日訪ねた太田宿で、「岡本一平終焉の地」碑に出會つたので、その經緯を知りたいと思ひました。


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