三月三日(火)戊寅(舊正月十三日 曇天、寒い

宝田明を見直してしまひました。いへね、今朝の『東京新聞』の第一面を讀んでの感想です。宝田明とは、かつて、慈惠大學病院の心臟外科外來で見かけたことがあり、持病があつたのでせうか、それにしてもその時の印象があまり良くなかつたのです。まだ外來病棟の地下奥深いところにあつた頃ですから、十數年も前のことになりますが・・。

ところが、今朝は、ぼくは、讀んでゐて姿勢を正してしまひました。ぼくが必ず讀むことにしてゐる、《秘密保護法 集団的自衛権 言わねばならないこと》の宝田明の文章です。

 

「恨み買い 民も戦火に・・・集団的自衛権を行使して、わざわざ外国に出かけて米軍の軍事行動に協力し、相手の恨みを買う必要はない。確かに国家は丸裸でいるわけにはいかないが、防衛に徹するべきだ。

こちらが聖戦だと言っても相手も聖戦だと思っている。戦争は戦闘員だけの戦いではなく、無辜の民を戦火に巻き込んでしまう。

小学五年のとき、旧満州(中国東北部)のハルビンで終戦を迎えた。旧ソ連軍が侵攻してきて関東軍は武装解除。民間人は無政府状態の中に放り込まれた。(悲慘な體驗談省略)

傷つけられた相手への恨みは一生消えない。私は助かったが、愛する家族や友人を殺された人の恨みはもつと深い。逆に、自分が傷つければ相手の恨みが残る。『やった』 『やられた』が繰り返されていく。戦争とはそういうものだ。

昨年の衆院選の公示翌日、NHKの情報番組に生出演した際、発言をアナウンサーにさえぎられてしまった。戦争は絶対にしてはならず、国家が間違った選択をしないよう国民は選挙で意思表示すべきだ、と話す途中だった。さえぎられた真意は分からないが、戦前のように、言いたいことが言えない暗い世の中に戻してはいけない。」

 

その通りです。そこで、ぼくの關心のあるはうへ話をもつていくやうですが、國民が正しく事態を把握して意思表示をすべきなんです。それが第一です。ところが、殘念ながら、おらが村の代表を國會に送り込むことに精力が傾けられるだけで、たとへばその候補者が、秘密保護法をつくり、集團的自衞權を推進させ、「憲法改惡、原發推進、消費税増額、ブラック企業や武器製造産業への優遇を推し進めてゐる党の議員」であるかないかを見ようとはしてゐないとしか言ひやうがありません(一月二日の「ひげ日記」參照)。

これを明治維新と比べるのは適切かどうかわかりませんが、『歴史紀行十 中仙道を歩く(一)」の中で述べたことを復習がてら引用させていただきます。〈新撰組〉と題した文章です。

 

  それと、近藤勇のことにふれますが、新撰組とはどのやうなものだつたと思ひますか。

  官軍の非道さのゆえに、ぼくは幕軍びいきですけれども、よく考へてみると、新撰組は「滅びるべくして滅びた」のだなあと思ふのです。

もう時代は、諸藩をどう牛耳るかなどといふ、幕藩政治の仕方でおさまる時代ではなく、世界的視野のもとで、「日本國」として、世界の國とどう付き合ふかが問はれてゐたときなのです。

  アヘン戰爭がその危機を煽りました。ペリー來航がその危機を現實のものにしました。

  立ち上がらぬ幕府にたいして、佐久間象山や横井小楠をはじめとする、その門人、いはゆる幕末の志士と呼ばれる若者たちが對應をせまりましたが、それらを阻止しようと立ち向つたのが新撰組でした。

   ことの顛末はおくとして、新撰組を動かしてゐたのは武士道でした。武士道といつても、彼らはもとは農民であり武士になりたくて浪士組に應募したのであり、あの隊旗の「誠」の字は、幕府に忠誠を尽くす旗印そのものでした。さうであれば、幕府とともに滅んでゆく運命にあつたわけですがそこが同じ幕臣であつても、ひとりの「國民」であらうとした勝海舟などとは根本的に異なるわけです。

  ようするに、そこで問はれてゐたのは、新しい國家のもとで 「國民」として新たに生まれ變はるか、幕藩體制のもとで 「武士」として滅んでゆくかそのやうな岐路に立たされてゐたのです。

 

だいぶ長い引用になつてしまひましたが、つまるところ、現代においても人を動かしてゐるのは、形を變へた「幕臣」意識ではないでせうか。或いは、それを「地元意識」と言ひ變へてもいいと思ひます。今さらですが、こんにち新たに、ひとりの「國民」であらうとすることが求められてゐるとぼくは思ふのであります。

 

ところで、ひと月前に往復はがきで出した、〈葛飾區地域活動〉の一つ、書道教室への參加申し込みの抽選結果通知が屆きました。「利用内定」でした。つまり抽選の結果内定したといふことです。なんてもつてまはつた言ひ方なんでせうかね。「合格です!」、とでも言つてくれればいいのに。

期間は、一年間、四月から、毎月第一木曜日に行はれます。どうにかついていきたいです。

 

今日の寫眞・・今朝の『東京新聞』の第一面、《秘密保護法 言わねばならないこと 集団的自衛権》の宝田明の文章。


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