正月三日(土)己卯(舊十一月十三日 晴

 

初の古本市が高圓寺の西部古書會館で始まりました。まあ、習性でせうか、行かなければならない氣分になつたので、二日間ピクニックにつきあつた妻に了解をとりつけて、どうにか出かけることができました。普段からの行ひがかういふときに生きてくるんですよね。

そんなことで行つてまゐりました。さほど大きな會場ではありませんが、大量の書物です。ゴミ漁り、ではない、寶さがしのやうにして一册づつ見て回りました。ありがたいことに、何册か掘り出しました。和本一册、くづし字の和書も數册といつたところです。それと、大井宿には、何故か西行の史跡が多いのです。それで、一月の旅のために、松永伍一著『西行幻想』を求めました。

 

年賀状が、この三日で、十二通屆きました。ありがたいです。でも、すでに年賀状を出さなくなつてまる二十年になります。今さら宗旨變へはできません。お會ひしたときにお禮を言ふしかありません。すみません。

 

ところで、この二日間、パソコン作業をしながら、NHKテレビとEテレを見てゐて、こりやあ「ながら」をしてはゐられないと思ひました。それは、《NHKスペシャル どう生きた?戦後70年 タモリ・堺雅人が語るニッポン人の生き方》と、《100分de日本人論 気鋭の論客が日本人の思想・文化を徹底的に語り合う白熱の討論》です。《タモリ》のはうは、タモリが時々本音を(?)を吐露してはつとさせられましたし、《日本人論》は、討論といふか、論客が喋り過ぎで興ざめでしたけれど、鈴木大拙の映像は貴重でした。「妙好人」は密かな愛讀書でもあつたので、あまり知られすぎてはまづいなと思つてしまひました。

「妙好人」については、鈴木大拙の『日本的靈性』によつて知つたのですが、『保存版 鈴木大拙選集 第六卷 妙好人』(春秋社)と、『柳宗悦妙好人論集』(岩波文庫)と、水上勉の『才一・蓑笠の人』(講談社文芸文庫)によつて身に染みてわかつてきました。大拙さん、「キリストは妙好人である」なんて言つてゐるんです!

人生を左右する本が、たつた數百圓で得られるなんて、幸せといつたらいいんでせうか。それともこれ以上ない贅澤といつたらいいんでせうか。ぼくは、この六十數年の人生において、その兩方をたつぷりと味ははせていただいて、これ以上の喜びはないと感謝してゐるのであります。

あツ、もう一つ言ひ忘れるところでした。Eテレの《大人のピタゴラ数学》と《オイコノミア新春SP》も面白く見ました。人生を選ぶやうにして、番組も選ぶしかないんです。付けつぱなしはいけません。自戒です。

 

ぼくの讀書(四)・・鈴木大拙『日本的靈性』(岩波文庫)と『無心といふこと』(創元文庫)、『柳宗悦妙好人論集』(岩波文庫)と水上勉の『才一・蓑笠の人』(講談社文芸文庫)です。

『無心といふこと』は、佛教思想の眞髓を究めてゐると思ひます。

 

今日の寫眞・・綾瀬驛で會つたカメラ少年。傍らに、お母さんと可愛い妹がはらはらして見てゐました。子どもの頃のぼく自身を見るやうでした。

 


コメント: 0