十月十日(金)甲寅(舊九月十七日) 晴れ

 

「中仙道を歩く(十九・後編)」が仕上がり、そしてお送りしてしまつたので、一息つきました。册子版作成は、少し熱が冷めてからのはうがいいので、ちよいと間をおきます。

それで、今日は、神田の古書會館に行きました。ぼくの惡いくせは、安いと、今さしせまつて必要でない本まで買つてしまふことですが、言ひ譯がましく言へば、それらが必要になるやうに勉強の方向が微妙に修正されて行くんですね。これは、お導きといふしかないでせう。

今までだつて、その一册を求めてゐなかつたならば、けして勉強をはじめなかつたであらう本と出會つてきました。先日の、桑田忠親著『細川幽齋』だつてさうです。それで、きょうは、細川護貞著と春名徹著の同じ書名の『細川幽齋』を買つてしまひました。ぼくの、もう一つの惡いくせは、人物や出來事を立體的に知りたいんですね。

まあ、買ひ求めるばかりではありませんが、本との出會ひといふものがあるんです。靑山學院大學の圖書館で放出したのをいただいた、「日本の近世」といふシリーズの第十三巻、『儒学・国学・洋学』(中央公論社)の中の、「古典研究と国学思想」(桑原恵)といふ論文だつてさうです。これを讀まなければ、上田秋成と出會ふことはなかつたでせう。そして、本居宣長との論爭に巻き込まれることもなかつたでせう。實に不思議です。

中仙道については、ある程度豫習ができるので、必要とする本の豫測がつきますが、それでも、まだ未知の世界が廣がつてゐます。京都三條大橋まで、あとどんな人物や歴史と出會ふのだらうかと、思つただけで胸がわくわくしてしまひますです。はい。 

 

今日の寫眞:すずらん通りにある、“はちまき”といふ天麩羅屋さん。ここの天丼が美味しいのであります。最近改装した店内は、レトロ調な落ちついた雰圍氣です。

 


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