七月十八日(金)庚寅(舊六月廿二日) 曇天、夜雨

今日は、妻のお墓參りに、初めてお付合ひしました。伊豆に居るときから、妻は、とくに兩親が亡くなつてからはたまに上京して、墓參りに行つてゐましたが、妻がいいよといふものですから、ぼくは今まで一度も訪れたことがありませんでした。

それが、今日は、一緒につきあつてくれない、といふので、いいよとこたへたら、墓參りに行くといふのです。もちろん快諾しました。ところが、昨日のデータのコピーがなかなか終はらず、やつと一〇〇パーセントになつたのが十一時少し前、つまりまるまる二十四時間かかつたことになります。なまじひに大きいデータなどのコピーをするものではないと反省しました。

それから出かけたのですが、おとなしく妻の言ふとほりについていきました。まづ、堀切菖蒲園驛から京成中山驛まで乘りました。この當りに來ると、ぼくなんか幼いころよく家族で遊びに出かけた、谷津や稻毛の海岸を連想して、潮の香さへ感じてなりません。鬼越驛とか海神驛とかいい驛名や地名があるんです。

京成中山驛にははじめて降りたと思ひます。驛前の通りが、まるで參道なんで、よく見たら、山側に、「法華經寺」といふ大寺院があるみたいです。ぼくたちは、海側へ、總武本線・下總中山驛前に出ました。どこへ行くのかと思つたら、ここからタクシーに乘るんださうで、はいはいと一緒に乘つて、名前だけは聞いたことのある「原木山 妙行寺」にやつてきました。さう、妻には、「ばらきさん」とだけ聞いてゐたのでよくわからなかつたのですが、字をみて納得しました。

いやあ、立派なお寺です。日蓮宗ですね。とりわけ中門の彫刻がもう藝術作品です! これを見るためだけに出かけても決して損にはならないすばらしさです。それとです。妻に聞いたところによると、葬式の時、いくら包めばよいか聞いたらしいんです。ところが、御志でけつこうですと、最後の最後まで金額を言はなかつたといふことです。ぼくのところの坊さんなんて、こちらが聞く前に、はい六十萬圓いただきますと、思つてもみなかつた金額を要求してきましたからね!

いやいや、餘計なことでした。お墓參りに來たんです。妻の兩親と、妻の父親の前妻と義父の四人が葬られてゐるんです。それがまた、ゆつたりとした墓域で、二人でお喋りしながら詣でることができました。めでたしめでたし。

御茶ノ水驛まで行つて、食後は別行動。ぼくは、古書會館へ買ひ出しに! でも、實に久しぶりの妻との外出でした。

 

今日の寫眞:下總中山驛前のピーナツ屋さんにて。原木山妙行寺にて。