五月三日(土)甲戌(旧四月五日・憲法記念日) 晴れのち曇り

今日も歩いてきました。体力回復強化散歩の第二日です。

だからといつて、闇雲に歩いたわけではありません。今日は、かねてより胸に秘してゐた、“葛飾区郷土と天文の博物館”と“葛西城跡”を訪ねようと思ひました。散歩といふよりも、“校外実習”といつた気分ですね。

昨日の反省をふまへて、朝一〇時三〇分に家を出ました。我が家のすぐ裏の通り、氷川神社にはじまり、お花茶屋公園で行き止まりの、東西に走る一本道を真つ直ぐ歩きはじめました。我が母校、双葉中学校への通学路だつた道です。そのころは砂利道で、雨が降るとあちこちに水溜りができてゐました。

お花茶屋公園は樹木が多く、木陰で休んだり涼んだりするにはとても良い公園です。けれど、見わたせば年寄ばかり。すばやく通り抜けて曳舟川の通りに出ますと、もうすぐに“葛飾区郷土と天文の博物館”のプラネタリウムのドームが見えてきました。のんびり歩いてちやうど一一時、家から二二八〇歩でした。

ぼくはワケがあつて、公共の施設は入場無料なのです(ぼくに付き添つてくれる方があれば、その方も無料なんですが、どういふわけか一緒に行つてくれる人がゐないんですよね?)。まあ、ここは大人一〇〇円(プラネタリウム観覧を含めれば四五〇円)ですからたいした額ではありませんが、いくつもはしごする場合などは助かります。といふわけではありませんが、プラネタリウム観覧は今回は遠慮して、〈葛西城の時代〉と銘打つた「かつしかのあゆみ」コーナーに向ひました。

また何より嬉しかつたのは、史料(資料)が自由に閲覧できて、しかも在庫がある分については販売もしてくれるのです。ほとんどが、この葛飾区郷土と天文の博物館発行の小冊子ですが、みな興味深いものばかりです。例へば、『葛飾遺跡探訪』、『秩父平氏 葛西清重とその時代』、『德川将軍と御殿』、『葛西城址・青戸御殿』、『かつしか風土記』、そして、『かつしかの地名と歴史』などを買ひ求めてしまひました。在庫のないものについては、コピーが自由ですので、『鎌倉幕府と葛西氏』所収論文、「柴又・矢切と源頼朝」をコピーさせていただきました。そんなこんなで、一時間半も長居してしまひ、次の目的に向かつたのはもう昼過ぎでした。

博物館の脇の道路ははじめて通る道路でした。このあたりは「白鳥」といふんですが、それは、「かって、この付近には白鳥の飛来した沼」があつたからださうです。ついでですが、「お花茶屋」といふ地名は、鷹狩にきた将軍が、お花さんの茶屋で休憩したからださうですね。

さあ、日差しが強くなつてきました。ひたすら歩きました。中仙道の熊谷宿や深谷宿あたりを歩いたことが思ひ出されました。やつてきたのは、亀青小学校隣にある寶持院です。

「(葛西城の)その範囲は、北は水戸街道の北側にある宝持院付近から、南は青戸八丁目、慈恵医科大学付属青戸病院付近におよぶ」といはれるその北限の寶持院です。それにしても、亀有と青戸の中間にあるからといつて「亀青」小学校といふのは有りですか? また何て読むんでせうか。

 まあ、まあ、気持ちを引き締めて最終コーナーにかからなくてはなりません。その脇を通る環七通りに沿つて、こんどは南下です。水戸街道との交差点付近は「大手前」といはれたさうです。やつと着きました。葛西城跡です。午後一時一五分、六二五〇歩でした。

 環七通りが作られるときに発掘が行はれて、多くのことが判明しましたが、その開通にあはせて二分されてしまひました。その名も、片や「御殿山公園」、片や「葛西城址公園」と名づけられてゐます。道路をへだてた両方の史跡を見て歩きましたが、ほとんど痕跡なし。石碑と案内板によつて知られるのみ。残念ですが仕方ないんでせう。遠くに思ひを馳せてはみましたけれど、今のぼくには、まだ、イメージが湧いてくるほど歴史として捉へられてゐないといふことを思ひ知らされた感じです。

 さらに環七通りにしたがつて南下しますと、左手に慈恵医科大学付属青戸病院が見えます。それをやり過ごし、さらに進みますと、やうやく、京成電鉄の電車が行きかふのが見えてきました。青戸駅です。が、その前に、竹内書店に寄らせていただきます。小ぶりの古本屋さんですが、中身は濃いのです。でも久しぶりです。足を引きずつてゐた小さなブルドッグは死んでしまつたやうで、おじさん少し寂しさうでした。

昼食は四つ木に行つていただかうと思つてゐましたが、帰宅時間が迫つてきてしまひました。青戸の商店街にお蕎麦屋さんがあつたので、そこでいただいてしまひました。青戸駅からは堀切菖蒲園駅まで電車に乗り、締めくくりとして、お世話になつてゐる青木書店さんに顔をだしました。いつもご主人とお喋りをしてしまふので、ほとんど書棚を見ることがないんです。今日はそれでも、すでに重たい諸資料を抱へてゐるのに、目にとまつた、児玉幸多編『近世農政史料集 江戸幕府法令』上下巻を買入れてしまひました。ワケありですがとても安かつたので、お得な気分で帰路につきました。

帰着時間、ちやうど午後三時。歩数は、九五三〇歩でした。

 

ラムの腰がさらに弱くなつてしまひました。昨年暮れから階段を降りられなくなつてしまつてゐましたが、きょうは、散歩からの帰り、上らうとするのに、後ろ足がくずれてしまつて、どうしても階段が上がれないのです。前足を懸命に出して上がらうとするのですが、後ろ足に力がはいらず、からだがくずれてしまふのです。その表情を見てゐたら涙が出てとまりませんでした。

 

今日の写真:“葛飾区郷土と天文の博物館”とその「かつしかのあゆみ」コーナー。寶持院。葛西城跡。「御殿山」といふのは、徳川将軍家の鷹狩の際の「青戸御殿」が設けられてゐたためにさう呼ばれてゐるやうです。それに竹内書店。