二月廿二日(土)甲子(旧正月廿三日) 晴れ 

今日は久しぶりにパヂヤマデイ、横になつて読書三昧でした。妻が、図書館に行くついでに、ぼくの注文の本二冊も持つて来てくれましたが、読みかけの本があつたので、まづ読んでしまひました。山本博文著『歴史をつかむ技法』です。たしかに、「歴史的思考力」を鍛へるのに役にたちました。また、腰巻に記されてゐるやうに「この一冊で『日本史の流れ』をわしづかみ!」もできて、たまには日本史の全体を俯瞰しておくことも大切に思ひました。

 

ところで、最近の「東京新聞」で、ちよつと心に留まつた記事がありました。一つは、十九日の《圧巻 国史大年表一万ページ》です。「神戸市長田区の元教員日置英剛さん(七八)が刊行を続ける『新・国史大年表』(国書刊行会)の本編全一冊が完結した。」といふものです。ぼくはかういふ本が出てゐることを待つたく知りませんでした。

でも、これを読んで、さういへば、「日置さんの父昌一さん」は知つてゐました。手もとにある、『日本歴史人名典』と『日本系譜綜覧』(二冊とも講談社学術文庫)が、日置昌一さんの編集でした。そのお父さんの仕事を引き継ぐ形で、「編集半世紀『百年耐える内容』」 の著作です。尊敬してしまひます。いつか必ず手に取つてみたいと思ひました。

もう一つの記事は、《言いたい放談》といふ、二十日に載つた、井筒和幸映画監督の辛口コラムです。「反感を買われても仕方がないが、オリンピックには何の興味もない。テレビ全局が悲願のメダル! 日の丸飛行隊! やった! と日本特有のナショナリズムだけを煽りながら、実況アナウンサーが親戚縁者のように金切り声を上げている。耳鳴りがした。: チャンネルを替えると騒ぎに合わせたように、安倍首相は性懲りもなく明日にも紛争をしたいのか、集団で自衛する! オレは最高司令官だ! とばかり、憲法を弄ぶように言い放っていた。これこそ不快だ。: 不愉快を承知でもう一度だけ。出来るなら早いとこ、オリンピックは終わってほしい。小生は映画に戯れていたい。」 以上、ぼくの大便、でない代弁でした。

実は、井筒監督とは、以前一度、二人だけで会つたことがありました。二人だけといつても、たまたまエレベーターで一緒だつたといふだけのことですが、印象的でした。あれは、二〇〇五年十月九日のことでした。岡山在住の友人の娘さんの結婚の司式のために、その前日伊豆を発ち(稲の刈り入れが済んだ直後でした)、関学生の時に住んでゐた西宮の門戸厄神を三十年振りに訪ね、その晩は、姫路駅前のホテルに泊まつたのでした。その次の朝のことです。朝食のために食堂へ行く井筒さんと、チェックアウトしにエレベーターに乗つたぼくが顔をあはせたのであります。いや、たつたそれだけのことですが、その時の印象は、前の晩飲み過ぎたんではないかなといふものでした。だから、言葉もかけずに失礼しました。

 

昨日、「彼女は一切記録をしようとはしないので」と書いてしまひましたが、それは読んだ本のことだけであつて、日々の記録は、これまたぼくの大雑把な「日記」とは比べものにはなりません。ときたま、あの子の誕生日に去年は何を送つたつけ、なんて聞くと、何日に、何を、いつ届くやうに、どこどこで頼んだなんていふ返事が返つてくるくらゐ精密な閻魔帳、否、記録ノートがつけられてゐるんです。妻の名誉のために、念のため。

 

今日の写真:震災のために、まつたく面影をなくした文化住宅付近、八幡神社から撮る。姫路の結婚式場前にて。ぼくの誕生日を明日に控へて、妹が持参したケーキで前祝ひ!

新聞の切り抜き。それに、けふも死んだやうに眠るラム。