二月廿一日(金)癸亥(旧正月廿二日) 晴れ、寒い 

朝食後、「ひげ日記」を開いてビックリしてしまひました。昨夜の「日記」に、服部さんがぢきぢきにコメントをくださつたのです。ぼくなんか手にもしたことのない雑誌『世界』がどうのかうのと、いまだその健在ぶりを伺ふことができました。また、四十数年前の写真の無断使用のお咎めもなくほつといたしました。

それで、妻に、服部さんから連絡があつたことを話し、そこまではよかつたんですけれど、つい調子にのつて、今まで読んだ本の冊数を告げたんです。そしたら、「なあに、たつたそれだけなの。あんなに本を買つてたぢやあないの。わたしなんかもつと読んでるわよ!」と、やりかへされてしまつたのであります。

たしかに妻の読書量は計り知れないものがあります。伊豆にゐるときにも、三日をおかずに図書館通ひでした。葛飾に帰つてきてからも、お花茶屋図書館へ通ひ詰める日々が続いてゐます。一度に数冊、多い時には十冊は注文してゐます。実は、服部さんのお薦めの本も(「お勧め」より、「お薦め」のはうが正しいやうです?)、妻が行くついでに頼んだんです。しかし、それが、お花茶屋にはなくて、他の図書館にはあるさうで、先ほど夕方、届いたといふ連絡がありました。が、もつと早く知らせてくれれば受け取りに行けるのに、といつも思ひます。必ず閉館時間にならなければ連絡をくれないんですよね!

もちろん、妻とぼくとでは、読む本の種類や内容はまつたく違ふので、単純に比べても仕方ありませんが、それにしても、ぼくの速度の三、四倍速いことは間違ひありません。ですから、ぼくの数倍は読んでゐるといつても過言ではありません。ひや~です! ただ、彼女は一切記録をしようとはしないので、正確な冊数は無知、いや、未知ですね。

 

それで、今日も、神田の古書会館へ出かけてしまひました。今日と明日は、「ぐろりや会」の即売展です。ぼくは、あくまでも量より質で勝負です。二〇〇六年から使つてゐる超小型の「見たい・読みたい・聴きたい・食べたい帳」を持つて御出陣です(要するに、なんでも欲した物を忘れないやうに記してあるノートです)。

 ありました、「新訂増補国史大系」の『本朝世紀』と『朝野群載』です。以前買ひ逃したことがあつて宿願だつたのです。それと、明治時代に発行された和綴じの『方丈記』。嵯峨本とは一味違つた文字使ひです。そして、同じく和綴じの『女人往生聞書』。終りのところに、「右筆蓮如在判」と書いてありますから、浄土真宗の教へなんでせう。ただ、いつも思ふのですが、かういふ和書に、どういふわけか、発行年月が記されてゐないんですね。

それから、古書会館を出るや、すぐ浦和に向かつたのです。ネットの「日本の古本屋」の〈全国即売展情報〉によると、今日から、「浦和宿古本いち」が開かれるといふのです。場所が変はると珍しい本も目につくのです。しかしです。到着すると、開催延期になつてゐました。また雪が降るといふ情報があつたからだといふんですが、どこが雪ですか。お日様が出てるんですよ! ちよいと寒いことは寒いんですが。まつたく、やはですね。でも、転んでもただでは起きません。仕方ないので、昨年三月に歩いた中仙道を少し歩き、慈恵稲荷神社の前にある金木書店を訪ねました。ここもいい本が揃つてゐます。東洋文庫の『幸若舞一 百合若大臣他』(平凡社)、三百円也。もう少し早く手に入つてゐれば、〈百合若大臣の足跡〉のところで尾鰭をつけられたんですがね、残念でした。

 

今日の写真:開かれるはづだつた「浦和宿古本いち」会場の広場。慈恵稲荷神社。金木書店。それと、和本二冊。