正月廿一日(火)壬辰(旧十二月廿一日) 晴れ、晩小雨 

今日は楽しい通院日。愛宕下の慈恵大病院へ、定例の通院ではなく、検査を受けるための臨時通院です。例の、エコー検査のため、裸の胸をまさぐられた検査室へ直行です(昨年十二月廿日の「日記」必読!)。しかし、今回は、明るいカーテンの仕切られたところで、起立のまま上半身裸になり、“ホルター心電図”を装着していただいただけでした。これは、二十四時間通して、心臓の働きを記録する装置なんです。極力静かに過ごして、災難を避けたいと思ふのですが、いつものやうにお過ごしくださいとのご注意がありました。

前に検査を受けたのは十年以上も前にもなるでせうか。胸に張りつけた器具も、もつと大きかつたやうに思ひます。かういふ技術は日進月歩なんですね。患者としてはありがたいかぎりです。女性検査技師がどんなにおばちやんであらうと、ここは問題にしてはいけないと思ひました。気をひきしめて二十四時間検査にお付合ひいたします。手には、「行動記録レポート」を持ち、いつものやうにですから、行く先は神保町しかありません。

地下鉄三田線の御成門駅は、階段がきついのです。それでも歩いて上がつてきました。帰りも歩いて、しかし、悪い評価が下されないやうに、いや記録されないやうにゆつくりと下りました。神保町駅も同様、山登りの訓練をかねた心臓検査なんて聞いたことありませんけれど、ぼくには現実なんです。ドキドキと自覚あるたびに、「レポート」にその時刻と行動と症状を記入しなければなりません。いつもは無視して歩き回つてゐるのに、かうなるとめんどうです。

歩いてゐると、若干胸元が落ち着きませんが、それでも、何軒か古書店をのぞいてみました。繰り返しますが、こちらの吸引力、求める力があればこそ必要な本は与へられるものなんです。それを地で行くかのやうに今日は、二冊の本と出会ひました。一冊目は、うすいの歴史を残す会発行の『関所のまち・よこかわ』です。碓氷の関所についてはもちろん、アプト式鉄道についても貴重な写真が盛りだくさん。今回と次回の「中仙道を歩く」の執筆に役立たせたいと思ひました。そして、もう一冊は、大石慎三郎著『天明三年 浅間大噴火』です。これは、軽井沢宿を過ぎたあたりで必ず必要になると踏んでの購入です。このやうにして、和田峠や、諏訪、木曾路に関するものをだいぶ手もとに集めてきました。足腰の前に心臓がギブアップしないやうに、これからは特に細心の注意をはらひたいと思ひました。

 

今日の写真:ホルター心電図室前。「行動記録レポート」用紙。御成門駅前から見た東京タワー。今晩のラム。どういふわけか、ぼくのそばを離れず、体を指圧・マッサージをしてあげたら、だいぶ安らいできたやうです。