十二月六日(金)晴れ

朝起きて、まづはじめに思ひ浮かんだのは、伊豆の山暮らしの他の写真のことでした。草花や昆虫、米作りや、塩作り、木工の箸作りなどの写真のことでした。それらも整理、加工しようと思ひ立ち、午前中、その中でも枚数の少ない「昆虫」を加工してみました。

昆虫のなかには、はじめてお目にかかるものも多く、楽しかつた山での生活をまたしみじみ思ひ出してしまひました!

でも時間切れ、今日の予定に従はなくてはなりません。綾瀬駅から千代田線で、新御茶ノ水駅に出、歩いて「古書会館」へ直行です。今日と明日は「和洋会」の展示即売なんです。入り口で荷物を預けての入室です。一〇時からの開場で、もうすでにたくさんの人です。

 人垣の少ないところから顔を覘くしかありません、それでも、すてきな出会ひがいくつもありました。まづ、中仙道関係の、信濃路・木曾路の本が何冊も見つかりました。それと、明治十一年「版権免許」の『小學作文五百題』といふ、和綴じでぼろぼろの例文集。筆字の古文書態で、古文書の勉強に役立ちさうです。それにしても、小学生がほんとに学んだのかといふくらい高度な内容なんです。

 それから、軽く立ち食ひそばをいただき、いや、これが美味しくてバカにできないんですが、腹ごしらへしてからこんどは、古書店のはしごです。だんだんに用意した袋が重くなり、結局宅配で送つてもらひました。次の予定がひかへてゐるからです。

 都営三田線に乗り、日比谷で日比谷線に乗り換へて、築地駅下車。約束の五時一五分の十分前に到着したら、もう他の三名は待つてゐました。半年ぶりの「いくいく会」の会食なんです。ともに日光街道を歩き通した仲間で、はじめは、ぼくが『歴史紀行』を書いたら、その時会ひましようといふことで始まつたのです。ところが、月一冊のペースで書いてゐるもんですから、それではやりきれないといふことで、年に二回か三回の集まりになつたのでした。もちろん、たまつた冊子を何部もプリントしてお持ちしました。

 場所は、築地の「はじめ鮮魚店」です、もう四回めになります。冷えた生ビールで乾杯し、美味しいお刺身、鍋物に、最後はお雑炊で〆でした。

 話は、この間のそれぞれの旅の報告がなされました。森さんはすでに多くの街道を完歩されてをられる大先輩ですが、現在、甲州街道を歩き、こんどは、水戸街道にチャレンジするといひます。「大宮歴史研究会」と「見沼古典文学を読む会」の会に参加されてゐます。日野さんは、「古典文学を読む会」と「悠久の歴史(ヒストリー)」といふ会に、そして唯一の女性の泉さんは、「忠臣蔵を考へる会」に参加してゐるといふ、みなみな豪傑揃ひなのであります。ぼくは、ただただ「中仙道を歩く」オンリー。

 それでも、話は幅広く、神官の履物は紙でできてゐるとか、お布施はお釈迦様からはじまつた、戒名料とは、明治天皇はどうして乃木希典が好きだつたのか、俳句より川柳が面白い等々、時間のたつのも忘れて、我先にと喋りまくりました。

 八時までの約束が、九時近くになり、それでも気持ちよく帰路につくことができました。

 

 今日の写真:三枚は会食した「はじめ鮮魚店」とそのお料理! それと、「いくいく会」メンバー。さらに、少し元気をとりもどした、一昨日のラムの散歩姿です。(次ページの右四枚)