十二月四日(水) 晴れのち曇り、一時雨
 朝起きると、体が痛かつた。山にゐるころは、こんな事はなかつたのに、三年半の年月のあひだに、体がなまつてしまつたことは否めません。そもそも、木登りは、体中の筋肉と、バランス感覚を必要とする、最高のスポーツだと思ふのですが、都会生活に慣れてきて、堕落してしまつたといはざるを得ないでせう。

 けれども、奮起して、「中仙道を歩く十 高崎宿」を書き続けました。内村鑑三につづいて、今日は、烏川の下流、佐野橋と常世神社と定家神社を訪れたこと、それらが、「謡曲」の名跡であること、他にも家隆神社があり、頼政神社もあり、これはどういふことなのかと思ひを馳せました。最後に、倉賀野の九品寺を訪ね、飯盛女の墓の前に佇み、越後と刻まれた墓石を見て、心が遠~い世界に連れていかれるやうな思ひがしたこと、などを書きました。そして、夜、その完成したワード版を、三十五名の友人に、メールに添付してお送りしました。

ところで、今日のお嬢は、ほとんど寝て過ごしました。雨が嫌いで、降つたあとのせいか、夜の散歩では、家を出てから帰るまで、足を引きずつてゐました。

 

《伊豆の山暮し》

山の生活で気を付けなければならないのが、マムシであります。茗荷畑に手を入れたら、いきなりマムシに咬まれたといふ話はよく聞きました。ある時、山のいつもの散歩道を歩いてゐると、ラムがいきなり吠えはじめたのです。なにかゐるなとは思ひましたが、ラムが土をかき出すまで、それがマムシであることはわかりませんでした。ただ、マムシは、他のシマヘビやヤマカガシのやうにはすばしつこくありません。竹の棒で引き出し、あたまをつぶし、先にぶらさげると、お嬢はもう大興奮! あのときの元気、すばやい身のこなし、今はどこへいつてしまつたのでせう?

 

 今日の写真:山路でマムシに興奮するお嬢。